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景気回復 From 山形

●先週末の7月9日(土)、名古屋から東京を経由し東北新幹線に乗って山形へ向かった。

東京までは空いていたグリーン席も東京→山形間は満席。指定席も満席で、自由席には立ち客も多かった。これはサクランボの季節だけの現象なのかと思いきや、それだけではないようだ。個人旅行者が戻りつつあるのと、出張者の数の割に便数が少ないため、東京から山形の便は比較的混み合うことが多いらしい。

●山形駅の改札口を出たらところで、株式会社アサヒ印刷の岩見信弘社長がお出迎えくださっていた。

『やあ~武沢さん、ようこそ山形へ!大変だったでしょう』とバイタリティあふれる岩見さんの野太い声。

「あ、岩見さんこんにちは。お久しぶりです。新幹線に乗っちゃえばアッという間でしたよ」とお答えはしたが、考えてみたら名古屋から4時間半かかる。同じ時間、飛行機に乗れば北京を通り越してモンゴルまで行けてしまう。そう考えれば、大変な距離に思えてくる。

●「車を駅前に止めてありますから」ということで外へ出た。ちょうど正午の山形は太陽が真上にあり、日差しが強烈だ。

「東北なのに意外に暑いんですね」というと「山形は暑いので有名です。内陸の盆地ですから」とのこと。それにしても名古屋に負けない暑さである。

●岩見さんは、「がんばれ社長!」創刊時からメルマガをお読み下さり、10年ほど前、仙台で行った講演のときに一度お目にかかっている。

今年3月の震災直後、「がんばれ社長!」の記事をご覧になった岩見社長は、こういう時期だからこそ東北の経営者を元気づけるために武沢を東北に呼ぼうとお考えになった。
それが今回の企画になって実現したわけだ。

★武沢の山形講演 → http://www.y-asahi.com/seminar/20110709/
★主催者:株式会社アサヒ印刷 → http://www.y-asahi.com/

●会場は山形駅前にあるホール「山形テルサ」。85名の経営者やビジネスピープルが集まった。3時間という長丁場の講演ながら、最初から最後まで心地よい緊張感が場内を覆い、私も集中してお話しさせていただくことができた。

●冒頭、3時間のメッセージのポイントをお伝えした。

「今、日本中の中小企業が業績低迷でもがいているが、低迷することが問題なのではなく、業績向上策を作れていないことが真の問題である。今日、皆様にお伝えしていく幾つかの視点にそって自社の未来をお考えになれば、かならずどなたもが売上を倍増させる計画が作れるようになるだろう。あとは倍増に要する時間をどうするか、だけである。
場合によっては今日、倍増計画ができてしまう方もいるだろう。仮に今日できなくても、今日以降にお考えいただく視点だけはすぐにご理解いただけると思う。これから我社は良くなるという明るい希望をリーダー自身がもつことで、社員、会社全体、業界や地域が必ず明るくなる」

●そんな導入から始まった3時間の講演は、アッという間に終わった。

講演後、たくさんの方々と名刺交換できたし、評判も上々で、こちらも逆にパワーをいただいた。

●講演の途中、15分ほどの休憩を入れた。

講師席にもどってお茶とサクランボをいただいていたら、スタッフの方が来場者に冷たいお茶と一緒に何かを配っておられる。どうも食べもののようだ。よく見ると、まんじゅうである。

「ほ~、おもしろい。私の地元の名古屋では結婚式の時に二階の窓から菓子袋をばらまくが、山形では休憩にまんじゅうを配るんだ」と思った。
だがそれは、勘違いだったようで、特別に地元の和菓子屋さんの『景気好転まんじゅう』というものをふるまっておられるのだった。

●自家製の小豆あんのたっぷり入ったおまんじゅうで、ひとつひとつの袋に「早く景気が良くなります様に」と祈願されたシールが貼ってある。

お値段も縁起をかついで一個88円。一切の添加物を使用せず、日持ちはしないが素朴でヤミツキになるお味。ごまの風味が何ともいえない。

●地元の名店・「戸田屋正道」さんのお菓子なのだが、これには、ちょっとこぼれ話がある。もともとこのまんじゅうは、葬式饅頭だったというのだ。

1998年秋、金融機関が相次いで倒産するなど世の中全体が暗い雰囲気になったとき、二代目のご主人の戸田正宏さんがこの饅頭を「景気好転まんじゅう」として売り出した。

当時、こんなメッセージが付いていた。

「がんばれ経営者。なんとまあ大変な世の中ですが、愚痴や弱音をはかずに、まんじゅうでも食べてがんばりましょう」

ネーミング、メッセージ、味の良さが評判となり大ヒットした。日経ビジネスなどの全国誌紙が取材にも訪れた。

●「景気が好転したらどうするのですか?」と聞かれ、「販売をやめます」と答えた。
その約束どおり、2002年から始まった好景気のときには「景気好転まんじゅう」の発売をやめた。そしてネーミングから「景気」の二文字を消して「好転まんじゅう」として発売を続けてきた。

●それがいつからか、再び「景気」の二文字を復活させねばならない状況になってしまった。

私も早く景気好転してほしいと思い、その場で三つもほおばった。かなり大きめのまんじゅうなので、おなかがふくれた。だが、それだけでは飽きたらず、残っていた10個ほどのまんじゅうをスタッフの方にお願いし、全部頂戴してカバンにつめた。

「賞味期限はあさってですからね」とつよく念を押された。私も景気回復を願って大いに食べるしかない。

★景気好転まんじゅう
→ http://www.sarado.or.jp/member/02_to.html#totop

●有志で懇親会へ。

山形というとサクランボ、ラ・フランス(フランス原産の洋梨)、米沢牛に代表される「山形牛」、こんにゃく、蕎麦というイメージが私にあるが、実は、豚肉も有名らしい。
特に山形豚はしゃぶしゃぶでいただくと食感や味わいがよく分かるそうで、懇親会では皆さんとしゃぶしゃぶを堪能した。

●夕食のときに思い出したが、山形は米と酒もうまい。

銘柄は失念したが、辛口の地酒はしゃぶしゃぶの豚と相性が良かったし、山形で作っている赤ワイン(私が頂戴したのはカベルネとシラーのブレンド)にも感激した。スイカやメロンやブルーベリーもおいしいと聞いた。

●講演前の昼食では山形の「板そば」をごちそうになったが、地元では冷たい肉そばや冷しラーメンも大人気だという。まさしく山形は食の宝庫。

岩見社長にこっそりお願いして、翌日名古屋に戻る前に冷しラーメンのお店にご案内いただくことにした。

「じゃあせっかくなので武沢さん、山寺にも登りましょう」と岩見社長。充実した明日(日曜日)の午前になりそうだ。

<つづく>