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脱・月曜病

●日曜日の夕方から始まる「笑点」や「サザエさん」を見ると気持ちが沈むことを「月曜病」という。
私もある年令までは「月曜病」に犯されたこともあるが、独立してこの方そのような気持ちになったことがない。これはサラリーマン固有の”病気”かと思っていたが、あるとき、経営者にもこの患者がいると知った。

●「月曜日に会社に行くのがつまらん」という社長がいたのだ。しかも、経営会議の場で、他の役員がいる前でそう聞いた。
ある意味、正直な社長だなぁと好意的に感じたものである。

●エマーソンが言うように「人々は驚きを愛する」。

ところが、刺激のない職場、面白みのない職場、苦労がたえない仕事をしていると、経営者といえども「月曜病」にかかる。

そうなる理由は二つあるように思う。

●ひとつは「怠惰」によるもの。

「われわれの本性は、怠惰へ傾いている」とゲーテが言うが、目標や目的を見失うと人は怠惰に流れやすい。必要最小限のことしかやらないようになり、ついにはすべてのことが面倒に感じてしまう。

何もしない、ダラダラ過ごす。ぼんやりと時間が過ぎていく。

こうした「ヒマ」な時間を過ごしてしまうこと。その気だるさと、かすかな罪悪感が刺激的な香辛料のようにやみつきになっていく。

その発端は、休日を無為に過ごすこと。「笑点」や「サザエさん」を見るからテンションが下がるのではなく、今日も無為に過ごしてしまったことへの罪悪感が自分を責めるのではなかろうか。

●ゲーテはこうも言う。

「今日をだらだらと無為に過ごす。明日も同じこと。そして次の日はもっとぐずぐずする。ためらいのひとつひとつが、それぞれの遅れをもたらし、日々のことを後悔しつつ日々が暮れていく。おまえは本気でやっているか?一瞬考えてみるがいい。思い切りのよさには才能と力と魔術が内在する。ひたすら没頭すれば、心に灯が点る。始めるのだ。そうすればその仕事は完成する」

これはゲーテが自らのために作った詩ではあるまいか。哲人といえども怠惰と戦っていたのだ。

●もうひとつの理由は「希望」の不在。

アレクサンダー大王は二十歳でマケドニアの王位に就いたとき、父が残してくれた広大な土地の大部分を部下や友人に与えてしまった。
「王はなにも手もとに残されないのですか?」と側近に聞かれ、アレクサンダーはこう答えた。

「私にはこの世で一番大きなものが残っている。それは”希望”という名の財産だ」

●経営計画書は希望の計画書でなければならない。

それは現実的な計画でなければならないが、現実を直視するあまり、希望が感じられないものであってはならない。

「トップ本来の仕事は今日とは違う明日をつくること」とドラッカーがいうが、5年後10年後にはまるで別会社であるかのような希望あふれる未来を描く必要がある。

同時に、まるで別人のような新たな自分像を描くことも大切だろう。

●「月曜病」に対する効果的な対策はひとつしかない。

それは今すぐ時間を密閉することである。そして、その時間であなたの希望を目標や計画に仕上げるのだ。もちろん社員の希望も聞いてあげよう。みんなの希望がつまった計画であれば、ひとりの計画から、みんなの計画に様変わりする。

●怠惰になりかけたら、もう一度希望を明らかにしよう。
それがうまく行っているかどうかのバロメーターは「笑点」と「サザエさん」を見たときの気分なのである。