未分類

業績を伸ばす視点 その3

●まず読者からのメール。ご本人の許可を得たのでお名前以外は公表させていただく。

・・・
武沢さんこんにちは。私は関東地区で葬儀会社を経営しております。
3月29日号のメルマガで、「葬儀も一生に一回」というお話がありましたが、たしかに自分が送られるのは一回かも知れませんが、家族として送る立場になる事は何度かあると思います。

少し前に自社で取ったデータがあります。
『いったい当社のリピーターってどのぐらいいるのだろう?』と実際に前期分を計算してみました。

そうしましたら、前期1年間 271件の葬儀をお手伝いした中で43件のお宅が2回目という結果でした。約16%の方がリピーターということでしょうか。

もちろんお葬式ですので1年間の内に2回ではなく、3年前の方や7年前の方などそのスパンは様々でした。
田舎ですので、その家族の親戚や知人などを考えたらきちっとした葬儀後の顧客管理はとても重要だと感じています。

以上です。これからもメルマガ楽しみにしています。
・・・

<武沢より>興味深いデータの提供、ありがとうございました。一年だけでなく5年ぐらいまでさかのぼるとまた別のものが見えてくることもあります。いずれにしろ、こうしたデータをつかんでおくことが大切ですね。
葬儀の16%(6件に1件)がリピーターという事実が分かったことだけで満足せず、それをどう受けとめ、今後どんな手を打つのかを社内で検討していってください。

●別の方のメール。

「わが社の大きなテーマは、顧客の世代交代についていきたいということです。親世代と子世代とでは、選ぶ業者が違うということが多いですから。そこに何とか食い込みたいと努力しています。既存顧客様のご紹介で新たなお客様と出会うのは大きな喜びです。なるべく「せまく深く」いきたいと思っています」

●顧客が親から子へ、上司から部下へ、先輩から後輩へ、友人から友人へと紹介でつながっていくことを「エンドレスチェーン」という。

鎖がつながって際限なく続く状態をイメージしての言葉だろう。
しかしそれは「客数」増加策でふれるテーマ。
「顧客定着年数」が「無限」に続くというイメージは捨てていただきたい。一人の顧客が永遠に顧客であるわけではない。

●たとえば、30年前に使っていたお店を今も使っているところはどこだろう。
仮にあなたが70歳として40歳のころも同じところで買っている(食べている)というお店がどれだけあるか思いだしてみてほしい。

あなたの年令が若くなるほど、30年前なんて子供に近くなるか、生まれてもいないことになる。

●昨日紹介した九州のモバイル広告事業の若き責任者からもメールが届いた。

・・・お世話になります。まさか、メールマガジンで取り上げて頂くなんて思ってもいなかったのでびっくりでした…。
アドバイス頂きありがとうございます。
なかなか前に進めず、苦労していまして・・・。社内での事業会議で再度検討します!
少しだけ元気になれた気がします!
また相談するかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
(実際の社名と氏名)
・・・

●具体的なアドバイスはまだ何も差し上げていないので、今日以降のメルマガでヒントをつかんでいただきたい。

さて、今日までの三日間申し上げてきたことは、既存の顧客は移ろいゆくという当たり前の話。それがあなたの会社では、具体的に何年で移ろいゆくことになっているのかを知っておこうという提案である。

●次にいこう。

売上高の計算公式は「客数×客単価×購入頻度」と言われることが多いが、私は「売上高=客数×客単価×購入頻度×顧客償却率」であると申し上げた。

売上高を伸ばすためには「客数」「客単価」「購入頻度」のいずれかを上げることと、「顧客償却率」(10年でお客が去るのなら10%)を下げる必要があるということだ。

●何を上げるか、もしくは下げるかによってマーケティング戦略は大きく異なる。

具体例をみてみよう。

ある中堅弁当会社がある。仮の社名は「有限会社がんばれ!ランチ」。
メイン業務はオフィスへのランチ弁当デリバリー。営業データはこのようになっていた。

・客数(オフィス数)500件
・客単価(一オフィスあたり) 2,800円(単価400円×平均7名)
・購入頻度 216回(一ヶ月平均18回×12ヶ月)
・顧客償却率 12.5%(平均8年でお客が去るため)

客数500件×客単価2,800円×購入頻度216回=売上3億240万円というのが現状である。

もし仮に「がんばれ!ランチ」が一切の営業努力を怠れば、翌年には12.5%はお客が減る。つまり、客数500件の12.5%(63件)が減って437件になる。他の指標が変わらなければ、437件×2,800円×216回=約2億6429万円の売上となり、3,800万円近い売上が消失する。にもかかわらず物価や固定費は自然増するものだからビジネスは下りのエレベータを登っていくようなものだと例えられるのだ。

●もう紙面が尽きた。話の展開が冗長な気がするが、焦らずじっくりやろう。

<つづく>