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業績を伸ばす視点 その1

●ある建設会社の社長との打合せが早めに済んだので二人で軽く夕食に行くことになった。

「場所は武沢さんにお任せする」と言われたので、かねてより行ってみたかった人気の焼鳥屋に電話を入れた。すると、アルバイトらしき男性が「三ヶ月先まで予約でいっぱいです」と言う。

やむなく電話を切ったが、人気店のすごい実力を見せつけられた。

●「しようがない、釜焼ピザでいいですか?」となじみのイタリアンに向かった。

「そちらは予約しなくていいですか?」と社長が聞くので、私は笑いながら、
「大丈夫、穴場なので人が混んでいるのをみたことがない」と冗談を飛ばした。

10分ほどでお店に到着。すると玄関先が妙に暗い。近づくとドアに貼り紙がしてあった。

「震災の影響でしばらくの間休業します。店主」

●「参ったぁ」と立ち尽くす私をみながら社長は、「同じ町で三ヶ月待ちのお店と休業するお店があるのですね」と感慨ぶかそう。

今度はスペイン料理店にむかった。ここも昨年夏に開店して以来、ずっと満席状態の人気店。4人以上でないと予約できないので行列覚悟で行ってみたら幸運にもカウンター席が空いていた。

●「飲食ビジネスは栄枯盛衰がはげしいですな」と社長。

建設業だって競争環境はきびしく、仕事の依頼が殺到する会社とヒマを持てあましている会社がある。だが、飲食店ほど企業格差が目にみえないだけのことだろう。

●「売上高=客数×客単価×購入頻度」

冒頭の人気焼鳥店の場合には、我々のような新規客が増えるのは嬉しくないことかもしれない。だが「諸行無常」というではないか。
新しいお客を増やす努力を怠っていると、ちょっとしたことをきっかけに”閑古鳥”が鳴きはじめることがある。焼鳥屋だけに注意が必要だ。

●釜焼ピザのお店にしても、私がこのお店を知った10年前。当時は予約しなと入れないこともあった。ピザもハウスワインも美味しい。
しかし、オーナーが店にいる時間が短くなり、腕のいいピザ焼き職人も店を去ったりして、徐々に客足が遠のいていた。

●売上を伸ばすためには、「客数」と「客単価」と「購入頻度」、どれを伸ばすか、ということだ。
まず、それぞれを伸ばすためには、どんな手の打ち方があるのかを知っておかねばならない。

●その前に「顧客定着率」を調べておこう。

仮に顧客定着率が100%の会社があるとすれば、それは、一人のお客が永久にお客であり続けてくれるということだ。だが、人間や企業であるかぎり”永久”はありえない。
仮に、平均で10年間お客で居つづけてくれるとするなら、お客は10年で”償却”することになる。つまり、10年後にはいなくなるので、年率10%お客が減ることになる。その会社がもし売上を10%増やしたいのなら、実際には20%増やす必要があるということだ。

●顧客定着が5年なら20%償却、3年なら33%償却となるから、いかにして顧客をつなぎとめておくかは重要な経営テーマになるのだ。

次に顧客の生涯価値を計算しよう。ひとりのお客が一生涯で幾らの売上貢献をしてくれるかを金額で知っておくのだ。計算法は簡単である。

「顧客の生涯価値=顧客定着年数×購買金額(年間)」となる。

●これも例をあげよう。
仮に10年お客で居つづけてくれる会社の顧客平均購買額が年間で100万円だとするなら、1千万円という金額が顧客の「生涯価値」となる。
粗利益で計算するなら、粗利益率をかければよい。

●こうした基礎データをしっかり調べておくことが大切だ。

冒頭の3ヶ月待ちの焼鳥店にしても、「顧客定着率」は100%ではない。
必ず99%以下である。もし95%とするならば、5%分の新規客を増やしてはじめて現状の売上が維持できるわけだ。
そのことを経営者がしっかり自覚すると、アルバイトの電話応対を変えるだろう。

●私のような見込客が、わざわざ連絡してきてくれた時こそ「満席です!」と追い返すのではなく、アドレスを取ればよい。

私ならこうする。

「お客様、ご予約に対応できずまことに申しわけございません。予約可能な状況になりましたら携帯メールでお知らせしつつ、生ビールか日本酒一合プレゼントのクーポンをお付けしたいのですがよろしいでしょうか?」

こうしてその場で名前とアドレスを入手する。そうすれば償却した顧客の埋め合わせはいつでもできる体制が整うのだ。

<近日につづく>