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時間に色を塗る

●「まずは、正味で月間200時間働きましょう。それだけで社長の仕事はグーンとはかどるはずです」と講演で申し上げたら、会場から手が上がった。

「200時間だなんて、甘いですよ。僕なんか年間300日、毎日朝7時から夜10時まで4,200時間働いている。月間に換算したら350時間ですよ」と鼻息が荒い。小さな工場を経営しているそうだ。

●彼が言うのは拘束時間の話であり、私が申し上げているのは正味の勤務時間のこと。
食事や休憩、移動、無駄にした時間は差し引くのだ。もし食事や移動のときでも、それが仕事になっていれば時間に加えて構わない。私の場合は読書時間もカウントするが、小説などの娯楽図書は時間に加えない。

●ボーッとネットサーフした時間もバッサリ引く。
夜、会合に参加して遅くまで懇親会があったとしても、一次会の分しかカウントしない。ゴルフや温泉、旅行などは相手が誰であってもカウントしない。

このようにして、なるべく厳格に集計してみてほしい。それでも月間で200時間確保できているだろうか?
もしそれがOKならば、まず第一関門突破である。

●次に、その時間を何に使っているのかを蛍光ペンで色分けし集計してみよう。

【ピンク】 お金を生む時間「A」(当面の業績に直結していること)
例えば、客先、現場での仕事

【オレンジ】お金を生む時間「B」(未来の業績に影響を与えること)
例えば、計画、勉強、会議、ミーティングなど

【ブルー】お金を生まない時間「A」(お金は生まないが必要なこと)
例えば、客先との親睦、お付き合い、トラブル対応

【ブラウン】 お金を生まない時間「B」(減らしたいこと)
例えば、話の長座、仕事以外のメールやりとり

●予定帳を開いたとき、ピンクやオレンジの暖色系が多くなっていれば充実した一週間を過ごせるはずである。
反対に、ブルーやブラウンなど濃いめの色が多いときは主体的とはいえない日々を送ることになる。

●このように、働く時間を量と質の両面からマネジメントしてみよう。
ここまで出来るようになったら第二関門突破。

次は第三関門が待ち構えている。それは社員の時間も量と質で把握することである。

●「社員の時間は、どうなっているのか私には分からない」という社長が多い。大会社ならそれも分かるが、中小企業では社員の時間を管理することも社長の仕事になる。

●今週一週間の予定、今日一日の予定を時間割にして提出してもらう。
それをもって朝礼にのぞむよう躾けてもよい。

社長もそうした予定を発表できねばならない。もしその予定から一時間以上のズレが生じたら速やかに修正報告を社内ML(メーリングリスト)に流さねばならないというルールを作り、社員の仕事内容にまで目を光らせていこう。

●アナログの方法だけでなく、オンラインでのスケジュール共有やTO-DO共有の仕組みもある。手段は何でも構わないので、時間を密封管理する方法をマスターしよう。経営資産の中でも、もっとも貴重なものは社長と社員の時間なのだから。