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経営指針講座を終えて

●一昨日、「2010年夏・経営指針講座」を終了した。

これは、愛知中小企業家同友会のなかで私が担当して定期開催している講座で、経営計画書を作るために7回通っていただく講座。年二回開講し、一回あたり定員25名が毎回満員になる。

次回は10月28日(木)にオリエンテーションセミナーを行い、11月から来年2月にかけて「2010年冬講座」を開催する。

●今回終了した講座は28名の経営者でスタートした。
出席日数が足りなかったり、成果物の提出が間に合わなかったりして「修了証書」をもらえなかった人が数名いたが、この猛暑の中をかいくぐってよくぞ最後までがんばられたと思う。それだけ皆さん、真剣なのだ。

●最終日に授与する「修了証書」には、あえて「入門証書」と書いてある。講座はこれにて終了だが、あなたが指針ある経営を行うのは本日がスタートなのだ、という意味である。

●最終日の一昨日は、22名の修了者全員が自社の経営計画の骨子を三分間スピーチした。たかが三分、されど三分である。

22名の一部には、聞き手に強いインパクトを与える発表者が何人かいた。それは話術の問題ではなく、目標に対する思いの深さの問題である。会心の計画が作れた証だと思う。

●そして昨夜は「大垣せいゆう会」で講義を行った。

こちらは、岐阜中小企業家同友会からの依頼でこの春スタートしたもので、愛知で行っている経営計画作成講座(7回)とほぼ同じ内容のものを5回に圧縮して行おうというもの。

若手経営者があつまる会なので宿題も多めにして、ある意味で愛知より大変だと思うが岐阜の皆さんも懸命だ。
昨夜は、ふだん明るくて元気が良い若者の顔から笑顔が消え、能面のような顔で受講していた。それもそのはず、自社の決算書分析を行ったからだ。

●すばらしい決算内容の会社もあった。

流動比率(流動資産÷流動負債)が1000%を超えている会社が複数あったし、現金比率(現預金÷流動負債)も1000%超の会社があった。
おそらく先代社長の経営手腕のたまものだろうが、若い後継者は、先代のすごさを数字面で再認識したことだろう。「親父、おそるべし」と。

●また、自社の生産性の低さに気づいて言葉を失っている専務がいた。

「う~ん、こんなに悪いんですか。悪いのは分かっていたが、これほどとは・・・」と顔面蒼白だ。
自己資本比率が年々劣化し、ついに10%を切っていることがわかって天井を見上げ、手がふるえている社長もいた。

●おそらく今まで幾度となく担当税理士から忠告を受けていたはずだが、トップが数字の意味と大切さを自覚しない限り、いかなる助言も「馬耳東風」だったのだろう。

帰りがけ、ある結婚式場の専務(30代前半)が私を呼び止めこう言った。

「武沢先生、今日はありがとうございました。いままで何十回となく決算書の見方の説明を受けてきましたが、先生のが一番分かりやすかった。複雑にみえたものが、実はこんな簡単な構造だったんだと初めて分かり、今まで何してきたんだろうと悔しいぐらいです」

「ハハハ、僕がそれを知ったのは50歳ですよ。あなたよりもっと損した気分だけど、一生知らない社長も多いから大丈夫」となぐさめ、会場を後にした。