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リストラの本質

※お盆休みが終わって、今日から仕事を再開している人が多いと思います。暦の上でも気持ちの面でも秋モードに入っていますが、一歩外に出ればまだ真夏。残暑も厳しそうですが、甲子園の高校球児たちに負けずにしっかりと戦いましょう。
この猛暑の後にグッと冷え込む秋がくれば、見事な紅葉が楽しめることでしょう。

さて、『がんばれ社長!今日のポイント』も本日より発行再開。しかも、いきなりリストラ問題!です。

●関西にあるデザイン制作会社「A」では、毎年秋に経営計画発表会を行ってきている。そして、「今期最重要テーマ」という名称でその年のスローガンを掲げてきた。

・2007年度:「基本の徹底」
・2008年度:「第二の天性、習慣を磨こう」
・2009年度:「あなたが主役、愛の報・連・相ゲーム」
・2010年度:「お客が行列する技術・アイデア開発」

●しかも「A」では、スローガンを言葉だけでなくデザインによってそれを表現し、社内啓蒙ポスターにしてきた。

「基本の徹底」の年には、社交場でダンスを踊る男女をイラスト化し、男性が女性の足を踏んで嫌がられている様子をユーモラスに描いた。

「第二の天性、習慣を磨こう」では、一人の男性が自動車通勤している様子と自転車通勤している様子を対比させ、その習慣の差が10年後にどんな体型差になるかを「ムンクの叫び」風のシリアスな絵で比較させた。

●先日、「A」の社長であるクリフ・安東氏(仮名、ハワイ日系三世)とお会いした。氏の行きつけのお好み焼屋でワインを楽しみながら…。

「武沢さん、会社を起こして9年目になる今年、どうやら初めて赤字決算を出しそうです。主力の客先があいついで業績不振に陥り、2年連続で売上げが減ってきていましたが、この一年はその減り方に加速がついてしまった。いわゆる “底割れ” というやつで、一度 “底割れ” すると、どこまで落ちるか予測がつかない。最悪、売上げがゼロになることまで想定しましたが、幸い、ある一定ラインでとどまっている。だが、それも油断できない。もう一段の”底割れ”があるかもしれないので、10周年を迎える来期は、相当シビアな経営管理が求められていると思います」

●「厳しいね、10周年のお祝いどころじゃないね」
「ええ、そんな余裕はありません。一応、内輪だけでひっそりと祝うつもりではいますが・・・」

来期の最重要テーマは何にするのか尋ねたところ、クリフ社長はテーブルにあった紙ナプキンを取り寄せ、ペンでスラスラと漫画を描きはじめた。三分後、クリフの手が止まった。

●「武沢さん、来期はこれにします」と手渡された紙ナプキンには二種類の動物が描かれていた。それは小太りの虎とリスが背中合わせに座っていて、ともに引き締まった顔つきで虚空をにらんでいた。

●「へぇ、虎とリス?」
「ええ、虎とリスです」
「虎とリス、虎とリス、トラリス、リストラ、あ、ひょっとしてリストラのこと?」
「はは、バレましたか。単純ですがおっしゃる通り、リストラです」とクリフ社長。

「これが最重要テーマなの?」

<明日に続く>