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ギョウザ屋にて

●すでにお盆休みに入った会社も多いようで、今朝の名古屋の道路事情はふだんに比べてかなりスムーズだった。

「がんばれ社長!」は明日もメルマガ発行するが、会社としては12日から今週いっぱい盆休みをとる。今年も四国をグルッと回って祭りでも見てこようと思っていたが、やるべきことが多いので私は休暇を返上して仕事をする。

●何をするか。

たまっている原稿もあるし、来客も何件かあるが、計画を最新に保つための一人プチ合宿がメインになる。
昨日届いたばかりのiPhone4もある。iPadやWi-Fi機能が付いた新型携帯ともども、最新鋭のガジェットが勢揃いしている。「脱獄」もまだしていない。

●ガジェットを駆使してGTD(仕事を成し遂げるシステム)をもう一度整備し、9月移行の有限会社がんばれ社長の下半期計画ならびに来期以降の計画をたてようと思う。

●計画といえば、最近こんなことがあった。

社長のための勉強会が終わって、「暑いからたまにはみんなでビールを飲もう」ということになった。名古屋駅の近くにギョウザが安くて美味い店がある。その店はいつも賑わっていて、少々まわりがうるさいのが玉にきずだが、10人ほどで訪れた。

●メンバーは多士済々。20代の新人経営者もいれば、ある専門分野の小売りで日本一の会社の社長もいる。

ワイワイガヤガヤと楽しいギョウザパーティになったわけだが、一人だけ浮かない顔をした社長がいた。お酒が弱いのか、真っ赤な顔をした彼が、やがて私の隣に来て小声でこうささやいた。

「武沢先生、実は大ピンチでして、受注が激減しています。毎月100万円以上の赤字が続いていて、年末までもつかどうかという状況です」

●「なんだよ、こんなところで」
「申し訳ありません。今までご相談のタイミングがつかめなくて」

彼(専務)によれば、父(社長)は長期入院中で容態がよくないので心配させたくない。税理士さんもかなりご高齢で相談相手としてふさわしくない。つっこんだ相談をする相手がいないのだと言う。

●「ここまで来たら相談なんかいらないよ」と私。それよりも、酒なんか飲んでないですぐに帰って計画書を作りなさい。まず帰りにコンビニへ寄ってノートを一冊買う。
その表紙に『○○株式会社 業績V字回復計画書』と書く。そのノート一冊はすべて業績黒字化のための作戦を書くことにする。

1ページ、2ページめあたりまでは、業績の歩みを書く。年度単位の損益実績を過去5年分くらい作る。次に、直近の24か月程度は、月単位の損益実績を書く。それには、月末現預金残高と借入金残高の欄も加えること。その作業だけに半日はかかるだろうが、一度やっておく。

そうすることで、どの段階からどの程度悪くなっているのかを数字で知ることができる。

●次に、今の受注状況が続き、経費削減も行わなかったとしたら、会社はいつまで耐えられるのかという見通しを書く。そこはなるべくシビアに書く。甘くしてはならない。

●次にメインだが、会社が黒字化するための作戦を書く。

最初は、受注が改善しない前提で、いくら固定費ダウンをすれば黒字化するのか書く。そして、その金額の固定費ダウンをどのように実現するのか書く。ただし、できれば人員の削減は最後まで選択しないつもりで。どうにもならない時にはそれもやむなし。

●次に、固定費を削減しつつも受注回復を図る計画をつくる。その場合はいつまでにどれだけの売上げを新しく確保すれば黒字化するのか計画する。

一心不乱にそうした作業をやっていると、いくつかアイデアが湧いてくるはずなので、それもすかさずノートの後半にメモっておく。
もちろんパソコンで作業しても良いが、おすすめは一冊のノートが良い。ある程度計画が完成してからパソコンで仕上げれば良いと思う。

●すると彼はこういった。

「やってみます。その計画は誰に見せれば良いですか?」
「誰にも見せる必要はない。なんで誰かに見せようとばかりしているの。他人に提出して評価してもらおうという気持ちを捨てて、自分で考えたことを自分が決めて自分でやる。非常時には社長がトップセールスを決めて自ら会社を救うんです。それぐらいの気概がなきゃ。当然、社員にも協力を求めるのだが、恃(たの)んでしまってはいけない」

●「やってみます」と彼。その後、閉会するまでビールをやめてウーロン茶にしていた。今後、彼がどう事態を切り開いていくか、私も注目している。