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野菜が身をもって教えてくれていること

最近の野菜はビタミンやミネラルの含有量が昔に比べて減っているという話をよく聞く。きっとあなたも一度や二度、お聞きになったことがあるだろう。問題はその理由なのだが、私はてっきり環境汚染によるものだと思っていた。しかし、現実はまったく逆の理由であることを最近知った。畑の土が良すぎるのが問題だという。

私のお気に入りの「トイレカレンダー」は、間もなく2016年版が発売になるが、2015カレンダーにこんな記事が載っていた。

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「畑の土がよすぎる」と?

日本の野菜は、味、香りが落ちたばかりか、栄養素までが年々少なくなっている。例えばホウレンソウは、かつてビタミンCの宝庫と呼ばれた緑黄色野菜の代表だが、最近のホウレンソウはその含有量が低下。その原因が、「畑の土がよすぎる」ということなのだ。野菜には、それぞれ原産地がある。ホウレンソウはペルシャ原産といわれ、もともとは半砂漠化した荒れ地で栽培されていた。つまり、やせた土地がホウレンソウの持ち味を育てたのである。また、トマトの原産地も南米のアンデスである。あのみずみずしいトマトのおいしさは、高原の荒れ地でこそ育まれた。ところが、今の日本の農業は、栄養も水もたっぷり与え、農薬で害虫や雑草から野菜をガードする。原産地の自然条件に比べて、環境が格段によくなっている。しかし、そういう過保護な環境下で甘やかされた野菜は、自力で土中の栄養分を吸い上げる能力や、水を求めて根をのばすパワーを失い、しだいに味や香り、栄養素まで不足した植物に成り下がっているのだ。(「ザ・トイレカレンダー2015)
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私はこれを読んで思わず唸ってしまった。「人間も一緒だ」「会社経営だって一緒だ」と。過保護にすると自然の作物だって怠惰になる。ましてや人間が過保護にされるとどこまでも甘えてしまう。

会社も同じ。
資金が潤沢になり、収益基盤が安定し、賃金は高く、残業はない。優秀な人材が続々入社し、社員教育にもたっぷり時間とお金をかけ、バラ色の将来ビジョンを共有している。

そういう、何不自由ない会社があったとして、本当にその会社が栄えるかというとそうでもない。蟻の一穴から崩壊することがある。

だから、荒れ地歓迎、水不足歓迎、乏しい光歓迎、肥料なし歓迎。甘くて栄養のある野菜ができるから。