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最高の贈りもの

●チョコの箱に「メリークリスマス!」、箱の上部には「○○○○からクリスマススイーツのお届けです」と印刷されている。○○○○の箇所は贈って下さった方のフルネーム。

●そう、今は贈りものが飛び交う季節なのだ。
デパートや繁華街にでかければクリスマスとお正月の気分にどっぷり浸れるのだろうが、こちらはオフィスと忘年会場と自宅をタクシーではげしく往復しているだけの身。クリスマス気分はまだ皆無に近い。

●そういえば14年前のクリスマスシーズンに顧問先のS社長が私にこう言った。

「武ちゃんメリークリスマス!来年からは今以上に僕と付きあってほしいから、僕からプレゼントがある」

「え、何ですか」と氏の手元足下をみたがなにもない。

●私の視線を無視してS社長はこう続けた。

「武ちゃんには次の二つのものを始めてもらいたいんだ。そうしたらもっとお互いに太い関係になれる。それはね・・、ゴルフとドウユウカイ」

「え?ゴルフとドウユウカイ。それがプレゼントですか?」

「うん、そう。愛知中小企業家同友会のこと。来期から僕も地区役員でね、会員集めの責任があるの。もちろんそのせいだけではないけど、入会すれば武ちゃんのビジネスも発展すると思うよ。もうひとつのゴルフの方は説明いらないよね」と両手でスイングのまねをした。

●突然そう言われた私は、言葉につまった。

「武ちゃん、ゴルフの経験は?」

「ええ、昔、スポーツ店で働いてことがありますから。当時は平日しか休みがとれなくて、昼近くに起きて一人でパブリックコースに出むいて知らない人のパーティに加わってゴルフするほど、のめり込みました。その後、結婚してから友人の誘いで魚釣りを始めたとき、かみさんに “趣味はどっちか一つにしなさい” と言われて釣りを選んだ。だから、ゴルフはやりたくても出来ない」

●「人生いろいろだね。わかった、じゃ同友会だけでいい。明日にでも事務局員から武ちゃんの会社に連絡が行くようにしておくから、手続きしておいて。年会費は7万円くらいだから問題ないよね」

「なにがプレゼントなんだ」と内心で思いながらもS社長のおどしに近い勧誘に負けた。私は同友会なるものについての質問すらできず、翌日、事務局に出むいて説明をうけ、入会した。

●その翌年、早いもので私は所属地区の副会長に選ばれた。さらに、その翌年は会長になった。
知らない人からみれば「異例の出世」かもしれないが、所属地区は会員数25名の小さな地区。ましてや毎月の例会に参加するのはその半数ということだった。ヒマがありそうな私に世話人が回ってくるのも当然だった。
名誉のために申し添えるが、今はそんな不活発な状況はまるでない。

●同時にその頃、別のオファーもいただいた。

愛知県を第1から第4までの四つの支部に分けたうちの一つの支部で「経営指針講座」の講師をやってみないか、とオファーいただいたのだった。
当時開業して日が浅かった私にとって願ってもないオファーだったので即答でお受けした。

●同時にその支部にとっては、勇気あるオファーだった。
なにしろこちらは入会して日が浅い。何をどのようにしゃべるのかも想像できないはずだ。
そんな人間に同友会活動の背骨ともいえる「経営指針講座」を担当させるというのは無謀と思えた。
しかし、役員会議で満場一致で私に決めたのは、その支部を取りしきっていたH社長のおかげである。なぜなら氏は私の顧問先の社長だった。これが「引き」というやつか。

●一回あたり7レッスン+補講2回+合宿1回(自由参加)というメニューを年に二回開講する。それを12年間、一度も穴をあけず、毎回ほぼ満席という状態でやってくることができた。一度も予算に困ったことがないのも自慢のひとつ。

●この12年間で受講生は600人ほど。重複受講もあるから約500人ほどの社長に経営計画を作ってきてもらった。
途中から欠席される人もいるので成文化率は100%ではなく、おおむね75%といったところ。
つまり、500人の75%だから375人の社長に経営計画を作ってきてもらったわけだ。

●中小企業家同友会には同友会のやり方がある。経営計画書の作り方も同友会の中に確立されたものがある。
『経営指針作成の手引き』という小冊子にコンパクトにまとめられているので、私の講座でもそれを尊重する。

●それだけでは足りないものを加えるかたちで「経営力診断シート」や「Wish List」、「マンダラWish」「経営理念策定マンダラ」「経営理念展開マンダラ」「付加価値配分5カ年計画」「顧客創造計画書」「経営指針マンダラ(一枚ものの概要書)」などを付けている。

●この12年間の講師活動は私の財産だ。
日刊メルマガ歴9年超に負けず劣らず大いなる自信につながっている。
今ふり返れば、14年前S社長は本当に大きなプレゼントを下さったものだ。