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続・若松の真骨頂

※今日から経営計画合宿 in 東京開催です。昨日の午後には「パーソナルプロジェクト」(個人面会)などの約束があり、東京に先入りしています。夕べは神宮球場での首位決戦も堪能しました。最後まで手に汗握る、好ゲームでした。試合終了後、ホテルにもどるために都心の公園を歩いたのですが、なんと「こおろぎ」の声が聞こえました。連日の猛暑ですが、着々と秋がしのびよっているようです。

一昨日のつづき。

「もう数分よろしいですか?」と若松さんの声が改まった。

そのとき私は心で思った。・・・今日はじめて出会った人から数十万もする教材を買った。それだけで充分軽はずみなのに、その場で友人を紹介するなんて、とても出来ない・・・

若松さんはそんな私の内心を知ってか知らずか、態度を一切変えずにこう言った。

「武沢さん、私ども○○エージェンシーのみるところでは、成功される方にはひとつの大きな特徴があります。それは、ご自分のことを愛するのと同じように、大切なお仲間のことも愛していらっしゃることです。武沢さんも例外ではないと思いますがいかがですか?」
「いやぁ、そうありたいとは思いますがなかなか・・・」
「そう思われるだけでもご立派です。今日、こうして私が武沢さんにお目にかかれたのも S さんがあなたのことを教えて下さったからですよ。そうでしょ?」
「ええ、たしかに」
「そこで今日、武沢さんのご紹介で私が連絡できる方8人のお名前が必要なのです」
「えっ!8人もですか」
「そうです、8人です。武沢さん、お忘れにならないでください。私どもの教材は一切の広告宣伝を行わず、半世紀にわたって愛用者を増やしてきました。それはひとえにクチコミです。愛用者のクチコミに勝るものはありません。武沢さん、途絶えさせないでください」
「若松さん、お言葉ですが私はまだ愛用者ではありませんよ」
「そうです。したがって武沢さんはこの教材の魅力をお友だちにおすすめいただくことはできません」
「でしょ」
「しかし武沢さんが今日お出来になることは、この教材の存在をお友だちに教えて差し上げることです。それならできるのです。」
「・・・」
「武沢さんが8人のお名前を思い出す間、この一巻のカセットテープについてお話ししてよろしいですか?」
「カセット?」

若松さんはアタッシュケースから大切そうにウォークマンを取りだし「ちょっとお聞きになりますか?」とイヤホンを渡した。

それは聞き覚えのある声だった。

「『人生は今日この瞬間から変わる』という講演テープです。私どもの創業者、ローレンス・シュナイダーがカーネギー・ホールで講演したものです。もちろん非売品でここでしか手に入りません。内容は日本語に吹き替えられ、あの名優・久田九郎がナレーションをしています。このテープを聴いただけで成功意識が二倍にも三倍にもなったという声など絶賛の嵐なのです」
「そのテープが私にもらえるのですか?」

「そうです。こちらに8人のお名前を書くためのシートがあります。これにすべてご記入いただくことで、私ども本部からカセットテープが武沢さんのご自宅に郵送されるのです」
「それはうれしいのですが、私が紹介した人が教材を買うかどうか分かりませんよ」
「それはまったく関係ありません。購入するかしないかはその方の問題ですので、我々には関係ありません。皆さん大人なのですから、大人の判断に委ねましょう。武沢さんにお願いしたいことは勉強熱心な方のお友だちの名前を思いだしていただくことだけです。決して困っている方は路頭に迷っている方ではなく、すでに立派にやられていて、さらに上を目指そうという意欲的な方だけを思いだしていただきたいのです」
「なるほど」
「私が記入しますから、思いだした方から順にお願いします」

若松さんはペンを構えていた。私は声をふりしぼった。「松浦努君、私の後輩です。松の木の松に浦和の浦、努力するの努です」

こうして8人の紹介カードの氏名欄が埋まった。あとは住所や電話などが分からないので持ち帰って記入し、翌朝 FAX した。カセットテープは素晴らしい内容だった。

ひと月後、若松さんに会った。8人すべてに手紙を送りアポ電話を入れたという。8人中6人とアポが取れ、4人が買ったそうだ。「これはすごいことです」と若松さんは興奮しておられた。

ちなみに平均は、ひとりの顧客から4人の紹介が得られ、1.5人が買うそうだ。つまりこの時点ですでに見込客は連鎖的に膨れあがっていく仕組みが出来ていた。

その35年間の累積が10億の自社ビルなのだ。

65になった若松さんが電話口で「遠回りしたものさ」と言うが、私からみれば、最短距離でここまでこられたように思う。

おそるべし、若松流紹介獲得システム。