未分類

勝手にランキング

●「クニマツ総業の続きが気になる」というようなメールがたくさん来ているが、それは明日の号で完結する予定なのでお楽しみに。

今日も昨日に引きつづいて旅行に関する話題をやってみたい。

昨日号をご覧になった読者から、「出雲(いずも)そばというのがあるのですね、知りませんでした」というメールが届いた。

●私はそれを読んで、「えっ、うそでしょう」と思った。

「出雲そば」といえば「信州そば」(長野)や「わんこそば」(岩手)と並び称される日本三大そばの一つ。全国的に有名だと思い込んでいたが知らない人もいるようだ。

個人的には、その「三大そば」以外に、山形や福島、新潟のそばも匹敵するほどうまいとは思うが、「出雲」と「信州」に関してはやはり、東西の両横綱だと思う。頭抜けた存在なのだ。

●その「出雲そば」をご存知ない方がいるのには少々驚いたのだが、かく言う私も、それを食べたのは今回が初めてのこと。
あまり人のことは言えないのかもしれない。

そういえば、私が最近まで知らなかった素晴らしい銘菓もいくつかある。

●京都の定番お菓子といえば「生八つ橋」しかないと思っていたら、地元の人は「阿闍梨餅」(あじゃりもち)が美味いから土産に買えと言う。

「なんですか、それ?」と言いながらもとにかく買って食べてみたら、本当にこれがうまい。こんな銘菓があったのかと恐れ入った次第。

知らないことはまだまだ続く。

●先週は岡山駅でちょっと小腹が空いたのでスナック菓子でも買おうとホームのキヨスクに行ってみたら、「大手まんぢゅう」なるものが売られていた。
「へぇ、聞いたことがないが、まんじゅうもわるくない」と思い、一箱買って新幹線の車内で食べてみたら、その美味いこと美味いこと。
ほんの1~2個だけ食べるつもりが・・・。

周囲ではスーツを着た紳士が黙々と饅頭を平らげているこちらの様子を見て、奇異な目線を送ってきたが、その気持ちは分からぬでもない。
だが饅頭に伸びる手が一向に止まらず、結局そのまま七個ほど食した。

●酒も好きだが甘いものにも目がない私が、独断と偏見で選んだ日本十大まんじゅうはこちら。

一位:もみじ饅頭(広島) 特に「藤い屋」が良い。
二位:薄皮饅頭(福島)
三位:金蝶園饅頭(大垣)
四位:大手まんぢゅう(岡山)
五位:水まんじゅう(大垣)
六位:そば饅頭(長野)
七位:生麩まんじゅう(京都)
八位:納屋橋饅頭(名古屋)
九位:温泉まんじゅう(草津、有馬など)
十位:うさまん(鎌倉)

大垣のまんじゅうが二種類も入っているが、郷里のえこひいきではなく本当にウマイから。
あと、神戸の清永さんにもらった東京の一口サイズの饅頭もうまかったが、あいにく名前が思い出せないので外した。それは八位くらいに入る実力がある。

ランキングの完成度を上げるために、あなたのおすすめ饅頭があれば教えていただきたい。
今度は最中(もなか)のランキングや、餅、だんごなどのランキングもやってみたいものだ。

●こちらも独断と偏見だが、温泉旅館ランキングもやってみた。

「温泉教授」で有名な松田忠徳氏のように全国の何千もの宿に泊まった経験はないが、それでもこれまでに100~200程度は泊まってきただろうか。いや、もっとあるかも知れないが、どちらにしても狭い体験の中でのランキングなので少々粗雑なものかもしれない。しかし、実際に泊まったからこそできる評価なので、やってみたい。

●まず、良い温泉旅館の定義だが、次の五つの評価ポイントの総合点が高いこと、もしくはどれか一つが突出していることが良い宿の条件だと思う。

その五つの評価ポイントとは、

1.温泉の質(温泉の質と浴槽・浴場の雰囲気や清潔さ)
2.宿(建物や部屋の造り、たたずまい、空調、静けさなど)
3.料理(夕食と朝食の質。量は問わない。むしろ大量なのは不可)
4.サービス(接客や客への干渉具合)
5.周辺環境(自然環境や温泉街の風情など)

の五つである。
あなたがその中の何にこだわりたいか、である。私の場合は圧倒的に「温泉の質」を問う。

●「温泉の質」とは、硫黄泉や単純泉などの泉質のことではない。
生ビールのように温泉も湧きたてホヤホヤが一番身体に良いとされるので、加水も加温もしていない、タンクに貯められてもいない温泉が最高点を付けられる、ということ。
もちろん、「かけ流し」が良い。外見はかけ流しっぽく見えても、実は循環している温泉では鮮度がなくなって入浴効果も落ちてしまう。

●次に浴槽の洗浄頻度。

理想は毎日湯を抜いて洗浄している温泉が最高。少なくとも三~四日に一度程度は湯抜き洗浄してほしい。
最近訪れた大露天風呂は、大きくて気持ちよいのだが、洗浄は「30日に一度程度」とあったのと「塩素系薬剤を使用」とあったので、とたんに湯から上がりたくなった。

●ホームページでは「源泉かけ流し」とうたいながら、現地の温泉分析書などの表記では「加水あり」、「循環施設あり」、「衛生管理のため塩素系薬剤使用」などと書いてあるわけで、これではお客をだましたことになる。
温泉では入浴前に「加水なし」「加温なし」「循環なし」「薬剤使用なし」となっていることを確認したいものである。

●また、最近「じゃらん」などの旅行サイトで「温泉かけながし」という表記を見かけるが、それには天然温泉100%であれば加水も加温も含むので、混同しないようにしたい。

●以上のように、源泉かけ流しで加水も加温もしておらず、入浴に適した温度が保たれて、毎日洗浄している温泉が究極の湯となる。
そんな奇跡的な温泉があるのか?と問われれば、少ないが「ある」。

●もちろん、温泉の質に関しては企業努力だけではどうしようもない問題でもある。たとえば、もともとわき出る源泉の温度が低い場合はやむなく加温せねばならないわけだし、わき出る湯量が乏しいと「かけ流し」することが困難になって、循環させねばならない。
それらは旅館側にとってハンデかもしれないが、それらのこともひっくるめてお客に情報開示して、正しく選んでもらおうとする姿勢は企業努力でやれるはずである。

●たとえば箱根の「和心亭豊月」は、加水と循環を利用してはいるが、大変手入れが行き届いた浴場で「温泉の質」でこそ満点は取れないが、他の項目ではすべて満点を上げられる。こんな親切で良い宿には今度、大切な人を連れて行ってみたいと思うほど素晴らしかった。
http://hakone-hougetu.com/

●奥塩原温泉の「下藤屋」は温泉の質が最高だった。私の好みの白濁した硫黄泉で檜の浴槽。湯治場のような風情があってこの風呂が10点満点。料理やサービスはそれほど印象がないが、このお湯に浸かりたいがために、また今度も一人で訪れたいと思う。ここは一人旅が似合う。 http://www.shimofujiya.com/

●あと、岩井温泉(鳥取)の「岩井屋」と丹後・木津温泉(京都)の「ゑびすや」、蔵王温泉(山形)の「わかまつや」の湯も実にすばらしかった。「天下の名湯」と呼ぶにふさわしい。

●青森の「蔦温泉」や「青荷温泉」「酸ヶ湯温泉」はたたずまいが良いので好きだし、銀山温泉(山形)の「能登屋旅館」などは、あえて豪雪のころに訪れてみたい。

●なにもかもすべて良かったという究極の温泉旅館には今のところ四カ所しか行き当たっていない。
それがこちら。

一位:乳頭温泉 「鶴の湯」(秋田)  http://www.tsurunoyu.com/
二位:福地温泉 「湯元 長座」(岐阜) http://www.okuhida-dsl.com/cyouza/
三位:草津温泉 「ての字屋」(群馬) http://www.tenojiya.co.jp/
四位:黒川温泉 「山河旅館」(熊本) http://www.sanga-ryokan.com/

惜しくも「次点」はこちら。

次点:湯布院 玉の湯(大分) http://www.tamanoyu.co.jp/
(お湯は9点だが、他は満点以上)
次点:湯田温泉 「松田屋ホテル」(山口) http://www.matsudayahotel.co.jp/
(司馬遼太郎と幕末の志士ファンはここしかないだろう)

●気になるお値段だが、部屋にもよるが「三位」と「次点」の二つの宿は、お一人様五万円以上した。
他の宿はお値段もかなりリーズナブルで毎年でも行けるのがありがたい。
あなたのおすすめはどこだろうか。