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アップ・オア・アウト

「アメリカにガソリンスタンドが何軒あるか」を面接試験の場で聞かれた時、あなたならどう回答する?

・ヤマ勘で○○○万台と当てにかかる?
・想像もつきません、と言ってギブアップする?
・調べますから時間を下さい、と言ってひとまず逃げる?

いずれも失格だ。

正しい態度は、知っている知識をもとに論理的に類推していくことだ。このような面接試験を実際にやっている会社がある。米国のコンサルティング企業「マッキンゼー」がその一社だ。

『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』(英治出版)が売れているようで、続編『マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック』も出た。いずれも元マッキンゼー社員が書いただけに、世界規模で展開する戦略コンサルティング企業の内部が垣間見れるようで面白い。

英語特有の誇張された表現なのかもしれないが、彼らのエリートぶりやタフガイぶりには驚かされることが多い。そして、見習うべき点もあるようだ。以下、一部を抜粋。

・マッキンゼーは、他の追随を許さないその厳然たる地位を維持するために、あるいは、その高額な手数料を維持するために、毎 年、ビジネススクールを卒業予定の学生のなかから、トップ中のトップを選び出す。さながら、ミルクの表面に浮いたクリーム の膜をすくうように。
・優秀な学生をおびき寄せるエサは何か? 高給。それにマッキンゼーの能力主義ヒエラルキーを猛スピードで駆け上がって、ビ ジネス界のエリートとあいまみえることができるという可能性。
・その見返りとしてマッキンゼーが要求するのは、顧客サービスに全身全霊を傾けること、出張も含めて何週間も何ヶ月も我が  家、家族から離れる超人的ハード・スケジュールを引き受けること、最高の質の仕事だけをすることである。
・このマッキンゼー基準を満たせば、いとも迅速な昇進が可能となる。ところが、この基準に達しなければ厳しい「アップ・オ  ア・アウト」(一定年限内に昇進するか、さもなければその組織から出なければならない)の規則で、どん詰まりへと追い込ま れる。

おお、何たる厳しさ。だがそれがエリートの実態だ。

「アップ・オア・アウト」とは、読んで字のごとく、昇進する力がないから組織に居られなくなる、という強烈なシステムのことだ。現状維持は許されない。成長か退場かのいずれかしかない。

だが、よくよく考えてみると、生物の進化においてもスポーツ選手の新旧交代においても、ビジネスや政治の若返りにしても、実は「アップ・オア・アウト」の原理が穏やかに、もしくは、強烈に働いているのだ。

マッキンゼーの設立趣旨書は、「きわだって優秀な人材を取り込み、その能力を伸ばし、奮いたたせ、意欲を与え、そのままひき留められるファームを築くこと」とある。そのための現実的な第一歩が、可能なかぎり優秀な候補者を集めることであり、そのために費やす時間とコストは他のどの企業よりも多いのではないか、と思われる。その結果、選ばれた上質なクリーム達は、上質な成果を組織にもたらすのだ。

マッキンゼーという会社の人材観をご紹介した。あなたの会社ではいかがだろうか。