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ヘッドアップしよう

●ある町の社長から電話が入った。
「一両日のうちに何時でもいいから会いたい」という。用件を聞いても言わないのでこちらもためらっていたら、集合場所は寿司屋だという。
こちらが寿司好きなのをご存知のようで、さっそく翌日の夜、指定の寿司屋に行ってみると、すでに社長はお茶をすすって待っていてくれた。

●「お待たせしました」と私。
カウンター席の彼の横に腰かけながら表情をみると、顔色がとても青い。寿司ネタのショーケースにある青物よりも真っ青なので、今日の話題がどのようなものなのか、だいたい想像がついてしまった。

●開口一番、「半分になっちゃいました」と青い社長。

今年に入ってからわずか6ヶ月で売上が半分になってしまったという。
彼の会社は広告代理店。大手旅行社のチラシやパンフレット、新聞広告の企画製作がメインで、サブがネット広告代理やその他もろもろ。
いずれもこの不況で受注が激減しており、伸びている部門がひとつもないという。

●先月の売上は昨年12月に比べてちょうど半分になり、粗利益では半分以下になった。
年末にリストラを行ったが、それでも固定費はまだ3割程度しか減っておらず、毎月赤字幅が拡大しているという。

●「この寿司屋に来るのも今日が最後になるかもしれない」と今にも泣きだしそうな青い社長。

「せっかくの寿司ですから、まずは美味しく食べましょうか」と励ましながら白ワインをオーダーしたが、ここには日本酒しかないという。

●青い社長のお話を伺って分かったことだが、彼はよくありがちな過ちを犯していた。

それは「目線を下げた」ことである。

リストラをして固定費を削減したまではよいが、そこで安心して目標売上高を下げ、新たな販売強化策もないまま毎月目標を下回る実績をくり返してきた結果が売上半減なのである。
こうして考えれば、売上を半減させるなど実にたやすいことのようだ。
増やすことはものすごくエネルギーが必要だが、ひとたび上昇気流に乗せればまた楽になるのに。

●あごを引いて目線を落とす。

それはゴルフや野球のバッティングでは基本形なのだが、ビジネスでは思いっきりヘッドアップするくらいでちょうど良い。
目線を上に上げよう。ヘッドアップしよう。

●どのようにしたら売上の上限のカベをぶち破ることができるかを絶えず考え、虎視眈々と売上新記録を目論んでいなければならないのだ。
それが社長の仕事である。とりわけ中小企業では、目線を落とす経営など論外と言わねばならない。

●世間も業界もあっと驚くようなことをしでかそう。

『がんばれ社長!今日のポイント』を読むほどの社長ならば、少なくともこう考えてみよう。

1.どのようにしたらきわめて高い生産性と高い利益率を実現できるか

高い生産性とは、社員一人あたり年間粗利益3,000万以上
高い利益率とは、売上高対比 経常利益率20%以上

2.高い報酬、高い還元

役員報酬+決算賞与は一人平均5,000万円
社員年収+決算賞与は、一人平均1,000万円

3.高い安全性
完全無借金(または実質無借金)で自己資本比率50%以上
現金比率(現預金÷流動負債)200%以上
現預金の残高は月商の6ヶ月分以上

4.高い成長性
売上高、粗利益とも毎年ふた桁成長を遂げる

5.高い投資
商品開発、製品開発、事業開発、人材開発などの開発費合計が粗利益の10%以上。

6.人生を満喫する

長期休暇制度(最低三週間)の導入
年間勤務時間数の総量規制(たとえば「2,000時間以内必達」など)

●このような新しい指針を打ち出して社員を鼓舞し、自らも鼓舞するのが社長の役目だと思う。

まちがっても目線を下げないよう心がけたい。