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経営者の一般教養

●まず次の文章をお読みいただきたい。

誰が書いたもので、その著書のタイトルは何かを当てられる人はすごいと思う。

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・・・若干誇張していうならば、今日大学で教えている科目のうち、経営管理者の準備として最も有効な職業教育は、詩や短編小説を書く訓練である。自らの考えを表現する方法、言葉とその意味を知り文章を書くことを訓練することである。
・・・
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●この文章の前に著者はこうも書いている。

・・・経営管理者になるためには、二つの種類の勉強が必要である。
ひとつは経営管理者になる前に身につけることができるもの。若いころから身につけられることである。
もう一つは、経営管理者としての経験があって初めて学ぶことができるものである。
・・・

●ここまで来れば文章の特長から誰の作品か分かるだろう。

そう、ドラッカー教授が1954年に書いた『現代の経営』の一節である。

これから経営者になろうという人ならば、詩や小説を書く訓練をするのが一番だ、というような大胆な主張をする人はドラッカーさん以外にはいまい。そして私は、これに激しく同意するものである。

●私のささやかな経験からも「名経営者は名文家」だと言える。
ブログやメルマガで堂々と持論を主張できるような経営者になりたいものだ。「黙して語らず」では腕の良い職人にはなれてもリーダーにはなれない。

●文章が書けるとは言っても、駄文ではダメである。
何が言いたいのかがよく分からないような文章を長々と書けたところで意味がない。
あくまで簡潔な文章で、意図が読み手に伝わらねばならないのだ。しかも読み手の心に響く文章が書けるようでありたいもの。
そうした能力は練習を重ねることによって誰もが習得できるわけだが、その前にたくさんの文章を読んでおく必要もあるだろう。

●さて、そのドラッカーさんだが、「ビジネススクールのカリキュラムに一般教養科目も組み込むべきだ」とも指摘している。

論理、分析、数学的手法や歴史、政治、人間環境、経済学などなど、経営者には一般教養が大切であるとドラッカーさんは語る。

●経営者は「ぼくは歴史に疎いんで・・」とか「私は数字が苦手でして・・」、というような言い訳は許されない。
ましてや本人が60歳以下なのであれば、まだまだ現役でリーダーシップを発揮する時間が長い訳だから、今からでもその苦手箇所を補強しておくべきである。
ただし、学生時代と違って100点を取りにいく必要はない。その箇所に強くなる必要もない。
経営者の一般教養は、とりあえず、弱くなければそれで良いと思う。

●社会人になっても大学や大学院に再入学したり、市民講座のような公開講座に参加するなど、もういちど勉強し直す機会が与えられている。だが、まだまだそうした機会は限られていて、誰もが自由に受講できるような環境にはなっていない。

●たとえば、『社長と経営管理者のための一般教養講座』というようなものを探しても見あたらないし、ネット検索してもヒットしない。

できればリーズナブルな受講料で参加できる講座、もしくはeラーニングでもよいのだが見つからない。

●なければ本を読むなどして独学で勉強するか、思い切って自分で講座を作ってしまうしかない。

そこで、社長や経営管理者が身につけておきたい「一般教養」とはどのようなものなのか、私なりにメニューだけでも考えてみた。

<国語力>
・日本文学と世界文学の名著を読む(各々50作品、半数は漫画も可)
・作文、作詞、(短編)小説を書く力
・スピーチ 思いを伝える能力
・辞書、辞典を使いこなす

<算数力>

・電卓を駆使する
・Excelと関数を覚える
・簿記の仕組み
・決算書の読み方

<社会>
・日本と世界の歴史
・世界の紛争と戦争
・第二次世界大戦、太平洋戦争を知る
・地理
・政治
・経済と金融
・環境とエコを理解する

<思想と道徳>
・世界の宗教
・日本の宗教
・四書五経と中国古典
・仏教の概要
・道徳と修身

<芸術>

・世界の芸術、音楽、映画
・日本の芸術、音楽、映画
・日本文化と伝統
・ポップカルチャー(マンガ、コスプレ、ゲーム、他)

<経営力>
・経営戦略
・マーケティング
・会計と資金調達
・組織とリーダーシップ
・人材マネジメント
・ファシリテーション(会議やミーティングの上手なやり方)
・ポジティブシンキングとクリティカルシンキング
(「絶対できる」という積極的思考と、「どうしたらできるか」という問題解決のための構造的かつ論理的思考を使いこなす)
・企業倫理と内部統制
・ドラッカーを読破する
・経営者列伝(世界編、日本編)
・経営計画書をつくる

<自己と家族のマネジメント>
・Wish List を作る
・人生計画の作り方
・ファミリー経営計画を作る
・子供育成の理念、方針、計画
・フィナンシャルマネジメント
・良好な人間関係の作り方
・健康な肉体と食事、栄養、運動、休養
・メンタルタフネス
・整理整頓と清掃、環境美化
・風水を知る

<GTD(仕事をなし遂げる技術)>
・やる気の出し方
・タイムマネジメントの考え方とやり方
・目標と計画の作り方
・上手な仕事の進め方
・手帳やガジェットを使いこなす
・速読をマスターする
・インターネットと携帯電話を使いこなす

<その他>

●結構たくさん出たな、と思うがまだまだ欠落しているものがあるかも知れない。
さらに問題は、これらのカリキュラムのテキストや講師はどうするか、ということもある。

あなたのご意見や情報があればお教え願いたい。
→ take@e-comon.co.jp