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資金力をつける

●商人・商売人から本物の”経営者”に脱皮しよう。
それには、経営の「哲学」と「技術」をもつことが必要となる。

「技術」については、とりわけ財務をマネジメントする技術が商売人と経営者を分ける重要な分岐点となるだろう。

●個人事業主のころから、あたかも大会社を経営するような視点で財務管理を始めていかないといつまでたっても資金力不足から脱却することができない。

●「私も松下幸之助さんが説いたダム式経営をやりたい」と思ってみても、実際に何も始めなければ資金力はつかない。
ダムに水を貯めるように毎月毎月現預金を増やしていってこそ、はじめて資金力がついてくる。

●では、資金力はどの程度必要なのだろうか。

資金力がある会社とは、現預金が一定水準以上ある状態のことをいう。
ここでいう「現預金」とは、現金+預貯金+換金自由な投資有価証券を合計したものをいう。
投資有価証券でも、企業間取引などで自由に売却しづらいものはこの計算から除外せねばならない。

その合計金額は多いほど良いのだが、最低でもどれだけ必要かを考えてみよう。

●まず、よく使われる指標に「現金比率」というものがあるので覚えておこう。
「現預金」÷「流動負債」×100% で計算するが、その数字が30%は必要だ。

「武沢さん、うちの会社は苦しいと思っていたが、計算してみたら意外にも100%以上あります」というので決算書を拝見したら借入金が山ほどあったりする。本当は借入金は除外して30%欲しいところだが、考え方としてはこうだ。

初級レベルの経営では、とりあえず借金があっても良いから現金比率が30%あればOKとしよう。起業時や成長段階の企業はこれにあたる。

中級レベルの経営では、「現預金-短期借入金」の額が流動負債の30%以上あればOKとしよう。

上級レベルの経営になると、「現預金-(長短)借入金」の額が30%以上ある。ここまで来れば、財務力が企業を盤石にするだけでなく、必要な投資がいつでも可能になるので成長を後押しする。

●少し脱線するが、借入金に対する知識がない社長は「借りられるうちに借りておけ」と借金を重ねてしまう。

その結果、長期と短期の借入金合計額は、総資産額(貸借対照表の縦合計金額)の30%を超え、40%、50%になる。
いくら利益率の高い会社でもそこまで借金すると、元利の返済が追いつかなくなり結果的には、財務倒産する。
販売力や技術力が弱いから倒産するのではなく、財務力が弱くて倒産する会社が後をたたないのである。

それでも借りたくなったらどうするか・・、グッと我慢するしかない。
歯を食いしばって我慢し、現金を回そう。

●「現金比率」は30%。

さてもうひとつマークしておきたい数字がある。
それは「月商倍率」だ。現預金の合計金額が、月商の何ヶ月分あればよいかという数字である。
多くの会社は平均月商の3ヶ月分以内の現預金しかもっていないが、できれば6ヶ月分以上の現預金を持ちたいものだ。
究極の理想は12ヶ月分だが、そんな会社は100社に1社もないだろう。

●現預金は多いほど良いとはいえ、いつも資金を遊ばせておくわけではない。
設備投資や製品開発、技術開発や事業開発などの投資に回していくべきなのは言うまでもない。
不況時には、そうした新しいことに挑む時間がたっぷりあるのだから、資金力がある会社には不況はチャンスになるのだ。

●私の手元に何社かの上場企業の有価証券報告書があるので、それぞれの会社の資金力をみてみよう。

<スターバックスコーヒージャパン>平成20年3月期

・現金預金 40億5千万円
・有価証券 10億円(現預金合計50億5千万円)

・流動負債合計 143億2千万円
(借入金 28億4千万円)

・平均月商 75億6176万円

★現金比率 35.3%(50億5千万円÷143億2千万円×100%)
★現預金の月商倍率 0.67ヶ月分(50億5千万円÷75億6176万円)

<任天堂連結>平成20年3月期、単位百万円

・現金預金 8,993億円
・有価証券 3,530億円 (現預金合計1兆2,523億円)

・流動負債合計 5,672億円
(借入金ゼロ)

・平均月商 1,394億円

★現金比率 220.8%(1兆2,523億円÷5,672億円×100%)
★現預金の月商倍率 8.99ヶ月分(1兆2,523億円÷1,394億円)

驚異的な資金力だが、このクラスの会社になるとかえって年商分の現
預金を確保するのは困難になるようだ。

<キーエンス連結>平成20年3月期、単位百万円

・現金預金  233億円
・有価証券 1,561億円 (現預金合計1,794億円)

・流動負債合計 413億円
(借入金ゼロ)

・平均月商 167億円

★現金比率  434.1%(1,794億円÷413億円×100%)
★現預金の月商倍率 10.7ヶ月分(1,794億円÷167億円)

資金力に関する限り、任天堂を上回る内容である。

●最後にあなたの会社の直近の決算数字と5年後の予定数字を入れてみよう。相当大きな利益と現金が必要になるはずだ。

松下幸之助さんも生前の講演会で語っておられたように、強くそう願わないと資金力はつかないものである。
これからの5年間でびっくりするような資金力ある会社に変貌しよう。
まずは現状と未来の数字をここに入れてみようではないか。

<あなたの会社の現在と未来>(金額単位:  円)

直近の実績   5年後の数字
・現金預金
・有価証券 (現預金合計   円)

・流動負債合計
(借入金   円)

・平均月商

★現金比率
★現預金の月商倍率