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中国・香港雑感

●昨夜、6日間の旅を終えて帰国しました。

読者からの質問や情報提供なども交えながら、旅の雑感を述べてみたいと思います。まずはちょっとしたエピソードから。

●フライトキャンセル

しっかりとしたデータがあるわけではありませんが、中国の航空会社ではフライトキャンセルが多いように思います。
旅の最終日の昨日、香港から上海を経由して日本に戻ろうとしたら、香港発の中国東方航空MU506便がキャンセルだというのです。
香港の空港免税店でゆっくり買い物と食事をしようと思ってずいぶん早めに着いていたのが幸いし、その30分後のフライトで上海に入ることができましたが、あわや帰国不能という状態になるところでした。

以前もキャンセルで上海に一日足止めをくらったことがあり、翌日の仕事に穴をあけてしまいました。それからは自衛策として外国旅行の翌日にはアポイントを入れないことにしています。

●その自信の根拠はなんだろう?

「I’m sure this is Dharma!」(間違いなくそれはダルマです)と二人はきっぱりと言いました。上海国際空港のお土産店。

5分で手彫りの印鑑を作ってくれるというのでいろいろな印材を物色していましたが、どうも欲しいものがありません。
店員さんに「I like Dharma」(私はダルマが好きです)と言うと、若い彼は、「ダルマ像なら倉庫にあります。それを取ってきますから待っていてください」というので待っていました。
数分後、息せき切って彼が戻ってきました。
「ありました、ありました。これです」
と白水牛の印材を二つ持ってきました。たしかに何かの人物像の形をしていますが、あきらかにそれはダルマではありません。しかもその二体はそれぞれ別の人物です。
私は「Oh my god! I’m afraid this is not Dharma」(これってダルマじゃないよ)と言いました。
驚いたことに彼は、「No no no no, this is Dharma。Both Dhrama」(これはダルマです。しかも両方ともダルマです)と言い張るではありませんか。
私があ然としていると、そこへ若い女性スタッフも近づいてきて二人が声を揃えて、「I’m sure this is Dharma」(間違いなく、これは、ダルマです)と言いきりました。

「何だろう、この自信は・・・」と思い、なかば呆れましたが、ひょっとして中国ではこれがダルマなのかと私は自信をなくしかけました。
でもダルマは世界共通のはずだ。彼らに教えてあげようと思い、近くにあったメモ用紙に書いてあげました。
「These are 弁財天 and 大黒天」
二人のスタッフは顔を見合わせ、「オー」と言ったまま黙り込みました。
「この人は自分より詳しいようだ」と分かると、あっさりと自説を取り下げます。
べつに彼らはウソを言って私に印鑑を売ろうとしているのではないでしょう。そうではなく、中途半端な知識でも自信をもって言いきることができる性格をしているようです。

私が「I’ll take another one」(ほかのものを探すよ)と別のものを物色し始めると、彼らは二度とその「Dharma」にはこだわりませんでした。

結局、別の白水牛に「加油!総経理」(中国語で「がんばれ!社長」)と彫ってもらい660元(9,240円)を支払ってきました。女性の方は、日本語勉強中のかわいらしい子でした。

●読者メール「為替について」

「・・一泊1,100ドル(1.3万円)はお得ですね」とありますが、1,100ドルは約11万円になります。ひょっとして1,100元の間違いではないですか・・・

<武沢より>
間違いではありません。香港でドルといえば「香港ドル」のことで、1100ドルは1.3万円になります。

ちなみに今日現在の為替相場はおおむね、1元が14円、1パカタが12円、1香港ドルが13円、(1米ドルが98円、1ユーロが134円)となっています。人民元の強さが香港ドルを上回っています。

今回の旅には日本円以外に、「元」(中国)と「パカタ」(マカオ)と「香港ドル」(香港)を持参しました。
ホテルの自室で毎朝、財布にその日の通貨を入れる必要があります。
特に香港とシンセンを行き来するのは簡単なので、ついうっかりパスポートと現地通貨を忘れがちなので気をつけねばなりません。

●読者メール「上海リニアについて」

・・・上海在住の者で、「がんばれ社長!」の愛読者です。
リニアのスピードについてですが、2年ほど前から騒音防止のため、朝晩は時速300キロに減速運転してるそうです。時間ははっきり覚えていませんが、朝は9時まで、夜は17時か19時以降だったと思います。・・・

<武沢より>なるほど、そういうことでしたか。沿線沿いに住民が増えてきて、騒音苦情が入ったのでしょうか。だとしたら、ずいぶん民主主義になってきたのですね。
私がリニアに乗った時刻は正午頃だったので、ひょっとしたら減速運転の時間帯を伸ばしているか、あるいは天候の理由だっかのかもわかりませんね。ありがとうございました。

●中国、香港、マカオの景気について

昨年5月に香港を訪れたときには、飛ぶ鳥を落とす勢いの景気でした。
「家賃が一気に3割も上がって困っている」とか「タクシーの乗車拒否がひどい」、「初任給がグングン上がっている」などの嘆き節が聞こえてくるほどでした。

しかし昨年12月に香港を訪れたときには、冷や水をぶっかけられたように皆さんがシュンとしていた香港。世界同時不況の前では、香港や華南地区、それにマカオまでもが大打撃を受けていたのです。

そして2009年5月の香港はまだら模様。
でも日本にくらべ、かなり回復傾向が強いことは間違いありません。
聞く相手によっては「まったく先が見えないほど悪い」という人もいますが、製造業の回復はまだ不十分のようです。
環境関連や素材関連など、「もう完全に立ち直ってますよ。むしろ一年前より利益率が良い」という人もいます。
小売りや飲食はとても堅調で、シンセンの街で特にそれを感じました。

●シンセンについて

シンセン和僑会幹事の皆さんの案内でシンセン市内の人気スポットを何カ所か見て回りました。
香港とシンセンの間を流れる川が国境。香港側からこれをまたぐと、一気に相場が安くなります。家賃などは数分の一になるため、シンセンに住んで香港まで通勤する人もいます。シンセンの中心街から香港までは約1時間、ファーストクラス(グリーン車)に乗っても片道70ドル(900円位)、普通車だと35ドル(450円)で移動できますし、15分に一本程度出ていますから国境を意識することなく移動できるのです。
香港でも安いものはたくさん売っていますが、シンセンほどではありません。週末ともなると地元シンセンはもちろん香港からも買い物や食事、サウナなどを楽しむための観光客が大挙訪れます。
今回は、福田口岸からシンセンに入り、福田新区を通って飲茶レストランでランチミーティング。
シンセン和僑会の運営について意見交換しました。

その後、巨大な展示会場やシンセン市政府の建物を車内見学し、シンセン最大の書店で「孟子」を買いました。

その後、「華強北」へ移動し、中国一とも言われる電子市場を見学。
昔の秋葉原を超大型にしたような街でした。
その後、東門へ移動し、若者の集まるショッピングエリアを探索。明治神宮の初詣客のような人混み混雑をかき分けながら、地元で大人気の9元(126円)のパスタをサイゼリアで食べました。安すぎるのでまったく味には期待していなかったのですが、日本で食べるのと大差がないほどおいしくてびっくりしました。これで利益が出るのですからすごい。

そのあと足がむくんできたので全員で足つぼマッサージを受け、締めは日本式の居酒屋へ。

今回おじゃましたのは、羅湖駅近くの「酒菜屋」(さかなや)さん。
華南地区で8店舗のお店を展開される池田社長の万菜屋グループのお店です。池田社長の会社は、おそらく日本企業が独資で開業した最初の飲食店だそうです。
大変なごくろうをされながら日本人をうならす日本料理を出し、今の立場を築いてこられたわけですが、「がんばれ社長!」はvol.3号からずっと購読して下っているそうです。今回、9年目にして初めてお目にかかることができました。

本格的な日本料理とお酒を出す居酒屋で、鯛やカンパチ、サケ、イカ、さざえなどの刺身が並んだときにはびっくりしました。
それに鱧(はも)の湯引き、だし巻き玉子、カレー鍋など一品一品のお味のたしかさに感動。日本で食べるよりおいしく感じました。

池田社長いわく、「最初こちらに来て和食レストランを出したときには失敗して日本に撤退する憂き目にあいました。でも何がいけなかったのかを冷静に反省し、再度こちらに来た10年前からは同じ失敗はしなくて済むようになりました」とのこと。
最大の失敗は「アワアワしたこと」だそうです。
常識があまりに違うため、全部中国の常識に合わせようとして浮き足立って経営してしまったそうです。
今はむしろ逆に、こちらの常識を通すことがお客を喜ばすことにつながると信じ、魚の仲買人や漁師を鍛えながら食材を確保していると言います。

また今度、必ずここで魚と酒をいただきたいと思います。
→ http://www.banzaiya.cn/sakanaya.html

→ 今回の画像 http://www.flickr.com/photos/takezawa/