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ワルだくみ

企業経営には、どこか少し悪だくみが入っていないと楽しくない。それを再認識させられた、昨日のできごと。

「うちの弁当を食べてハワイへ行こう!」と言えるようなオリジナル弁当を開発したい、とある弁当会社の社長が言い出したのだ。

武沢:「えっ、弁当でハワイ?どういうことですか?」

A氏:「それはですね、・・・(今のところ企業秘密につき省略)」

どうしてこのような会話になったか、それは自社の売り物を定義づけしているときのやりとりから発展したものである。

経営計画を作るときには、この本質的・中核的売り物が何なのかを具体的に決めておくことが肝心だ。
「御社の売り物は何でしょうか?」と尋ねると、たいていの場合は、今の商売をそのまま表現する。
A氏の場合も最初はごく常識的な答え「弁当です。」と答えていた。

以下、その後の会話。

武沢:「たしかに弁当には違いないのですが、逆の立場で考えてみましょう。お客さんはAさんの会社から何を買っています      か?」

A氏:「・・・やっぱり、弁当じゃないでしょうか・・・、」

武沢:「お客さんがA社から買っているもの、それは弁当ですか?では、お客さんにとって、弁当を食べるというのは、目的です    か手段ですか。」

A氏:「楽しみにして下さっている方も多いので『目的』と言いたいところですが、工場や建設現場などで働く方が短い休憩時間    のなかで、食堂や事務所で食べるランチ弁当ですから『手段』の弁当なのかも知れません。」

武沢:「なるほど。すると、おいしくて安い弁当を提供することだけが我社の経営課題ではないかも知れないのですね。それで     は、別の角度からお尋ねします。A社が今後、業界でナンバーワンになれると思う分野で、かつAさんが熱狂出来る分野    で、尚かつ収益性の高い分野があるとすれば、それは何でしょうか。」

私は、「ナンバーワン」「熱狂」「収益性」と黒板に書いてそれぞれの円が重なる部分を黒く塗った。そして、考え続けるAさんに再び質問した。

「この黒い部分、それは何ですか?」

そしてAさんは答えらしきものを見つけた。そしてその結果が冒頭のハワイ弁当なるものだ。その目はいたずら小僧が悪巧みをしているかのようだったが、その目こそA社長の魅力が余すところなく表現できる分野であるに違いない。あなたも自問自答されてみてはいかが。また、すぐには答えが見つからない場合もあるが、決して焦る必要はない。何度も自問することで必ず納得できる答えが見つかるはずだ。

<商談の科学 明日に延期しました。>