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不況時の心構えを養う

●「不況もまたよし。むしろピンチはチャンスなんだ」と言うのは簡単だが、本当にそうなのだろうか?

こっちは苦しんでいるのに、苦しんでいない相手からそんなことを言われたって、嬉しくもなんともない。

「根拠のないはげましなんかいらない」と思う。

●だがちょっと待とう。

もし、「不況もまたよし」と言ってくれる相手が天下の松下幸之助だったらどうだろう。
なんと言っても彼の場合、”昭和恐慌”(世界金融恐慌)も敗戦後の混乱も、”40年不況”もすべてくぐり抜けてきた。

そんな彼の経営人生でたどりついた結論が「好景気もよろしいが、不景気はさらにいい」というものだとしたら、彼がいったい何を語ってくれるのか、もっと知りたくはないだろうか。

●松下幸之助のことを人は「経営の神様」というが、本当に「神様」と、無条件にあがめ奉ってしまうのは良くないと思う。

氏への信仰心を持つのではなく、同じ土俵に立つ経営者の先輩として、幸之助が何を語ってきたのかを知ることは大いに意味があると思うのだ。

●松下幸之助が創設したPHP研究所。(本社京都、本部東京)

当然ながら同社には、氏の音声や画像や書などがほかのどこよりもたくさん保存されている。
余談だが、私は松下幸之助翁を尊敬している。その理由のひとつが、(小さな理由かもしれないが)コンテンツを残す意識が人一倍強い経営者だったからだ。
なにしろ電気製品を作っているメーカーの社長だから、録音機や録画機はお手の物だったのかも知れない。
今となっては大変貴重な講演やスピーチを今もありありと聞くことができるのはありがたい。記録を残すという精神が他の経営者、たとえば本田宗一郎さんなどにもっとあればと惜しまれる。

●さて、不況について松下幸之助が語ったことがすべてここに収められている。そんな音声CDがPHP社から発売になった。

『松下幸之助に学ぶ 不況克服の知恵』(PHP研究所)。音声CD二枚、内一枚は松下さんの肉声。48ページの冊子一冊。(5,250円、税込)

→ http://ganbare.pk.shopserve.jp/SHOP/PHP001.html

●松下さんがこの中で何を語っているのか、ハイライト箇所を紹介してみたい。

・第一話 「不況もまたよし」

好況の時というのは駆け足のようなもので、駆け足のときにはあまり他に目が移らない。ところが、不景気になってゆるゆると歩くようになると前後左右に目が
移る。そうすると、「ああ、ここに欠陥があるな」とか「ここが汚れているな」とか修復・訂正ができるようになる。こうした準備工作は不景気があるからでき
るわけで、こうした不景気のときにしかやれないことがあると分かると、不況もまたよしと心底から思える。
(昭和38年3月27日 長野ナショナル店会大会 幸之助71才)

・第二話 「昭和不況時の体験」

浜口内閣が金解禁を行って急転直下の不景気がおそってきた。売れ行きが半減し非常に困った。倉庫には製品がみるみる積まれ、資金は足りなくなってきた。今
日のような時代ではなかったので解雇・事業縮小が各方面で起こったんでありますが、不景気に人を辞めさすというような弱いことではいけない。この際、思い
とどまろうと。
しかし現実には金が足りない。
そこで従業員は一人も解雇せずに・・・
(昭和36年10月27日 日本マネジメントスクール 幸之助69才)

・第三話「改善の好機」

ものを改革・改善するということは好況期には実際にはできない。
ちょうど今、日本は好景気のあとの嵐というような状態に直面いたしまして、改善すべき時期に来ていると思うんであります。
政治といわず、経済といわず、また思想といわず、すべてにおいて検討する時期に直面していると思うんであります。
(昭和40年3月23日 全国製パン業者大会 幸之助73才)

・第四話「苦労は買ってでも・・・」

いつも順風満帆で順調に発展していくことはまことに望ましいことではある。しかし、いつもそういう状態にあると社員は知らず知らずに温室育ちになってしま
う。
発展の過程に幾多の困難があって、その困難におびえずして喜んでそれを迎えて、そしてそれを切り抜けていくということがしばしばその過程にあってこそ、国
なり、会社なりは永遠のもんであると私は思うんであります。
単なる知識や学問じゃいかんのだ。それを超す強いものが心の根底に培うてはじめて諸君が習った知識なり学問が生きてくる。その根底なくして学問、知識とい
うものはむしろじゃまになるんだ・・・
(昭和36年12月16日 松下電器寮生大会 幸之助69才)

・第五話「時には一服も」

不況だからさしあたり困る。困るからあっちへ仕事を探しに行き、こっちに仕事を探しに行くということもあると思うんであります。
そういうようなお考えも無理からんことだと思うんです。
しかし、そこに非常な危険性があると私は思うんです。そんなに、ぼろい仕事というものがころがっているもんじゃありません。また、あったとしても、その機
会に値切られるとか、無理な注文を受けるというようなことになり、それが禍根となってかえって行きづまるような会社や下請工場というものは相当たくさんあ
ることを私は過去に経験してまいりました。
不況のときには、むしろ休養が必要で力を養うときなのです。その間に改善すべきものは改善し、無理にあせって引き合わん注文をもらっていったり、安う売っ
たりする必要はない。
まあ一定期間の間、なんぼ損をするということをはじめから見積もって、この不況に今まで儲けた金の一割は損しよう、というように安易に考えればよい。もち
ろん儲けた金が現金で残っていないからつらいといえばつらいことですが・・・
(昭和40年2月6日 松下電器主要協力工場懇談会 幸之助73才)

<つづきは来週>

早く知りたい人、もっと詳しく知りたい人はこの音声CDを手に入れて通勤時や散歩、トレーニング時に聞いてみよう。
きっと不況を生き抜く勇気と知恵がわいてくるはずだ。

→ http://ganbare.pk.shopserve.jp/SHOP/PHP001.html

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<PHPさんより おしらせ>

「不況に打ち克つ心構えとヒント」と題して、PHPさん主催の緊急企画
講演会があります。
PHP研究所の江口克彦社長と、ドリームインキュベータ 堀 紘一会長の
ダブル講演です。おすすめします!

・3月10日(火) 東京
「不況に打ち克つ!~心構えとヒント~」

講演1.松下幸之助に学ぶ不況克服の心得(約90分)
講師:江口克彦 PHP総合研究所社長
講演2.世界連鎖恐慌に打ち克つ知恵(約90分)
講師:堀 紘一氏 ドリームインキュベータ会長

・詳しい内容とお申し込みは こちらから↓
http://www.php.co.jp/shain/hint/