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倒産を考える

●子どもが「あのビデオ屋さん潰れたよ」などと言うときの「潰れた」は、倒産を意味するとは限らない。
単なる移転なのかもしれないし、そのお店をスクラップしただけかもしれない。
経営者から言わせれば、そこに居なくなっただけで「潰れた」とは心外である。

●今週、SFCG(旧・商工ファンド)が倒産した。こちらは本当に倒産した。早くも今年10社目の上場企業の倒産となる。
昨年は上場企業倒産が36社あり、「大変多い年」と言われたが、今年はさらにその倍のペースで推移しているわけだ。

●かつては個人的に、SFCGは最も倒産しにくい会社の一つだと思っていたが、法改正や世界金融不況の影響をもろにかぶったようだ。

ちなみに、同社のサイトにある企業データはこうだ。

・正式社名 株式会社SFCG
・設  立 1978年12月
・代 表 者 代表取締役社長 大島 健伸
・資 本 金 791億4915万円
・従 業 員 1,841名
・株  式 東京証券取引所市場第一部
・業 績 融資残高 3435億3500万円(連結)(04年7月)
・営業収益 777億0500万円(連結)/534億1200万円(単体)(04年7月)
・経常利益 159億1200万円(連結)/134億5300万円(単体)(04年7月)
・売上構成 リボローン79.9% 受取割引料8.2% 不動産担保貸付8.3%
・その他担保貸付0.3% 受取手数料3.3%
・自己資本 2260.48億円(04年7月)
・自己資本比率 54.5%(03年7月)
→ http://www2.sfcg.jp/data/cdata.html

こんな会社が倒産するとはにわかに信じられないが、債務の返済が滞る(要するに現金がない)と倒産するのがゲームのルールなのだからコワイものである。

●時々「会社更生法の申請は倒産なのですか」とか「民事再生とどう違うのですか」と聞かれることがある。経営者なら、そのあたりをきちんと知っておきたいものだ。

●そもそも「倒産」とは法律用語ではない。

一般的には何をもって「倒産」というのか、「帝国データバンク」のサイトから一部引用してみよう。

・・・
倒産とは、一般的には「企業経営が行き詰まり、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」を指します。
具体的には、以下に挙げる6つのケースのいずれかに該当すると認められた場合を「倒産」と定め、これが事実上の倒産の定義となっています。

(1)2回目不渡りを出し銀行取引停止処分を受ける
(2)内整理する(代表が倒産を認めた時)
(3)裁判所に会社更生法の適用を申請する
(4)裁判所に民事再生法の手続き開始を申請する
(5)裁判所に破産を申請する
(6)裁判所に特別清算の開始を申請する
・・・

「破産」や「特別清算」はもちろんのこと、会社更生法の申請も民事再生法の申請も、すべて「倒産」になるのだ。
ただし大別すれば、「再建型」と「清算型」の二つに分かれ、再生法を申請するのが再建型である。

●では、「会社更生法」と「民事再生法」の違いは何か。再び帝国データバンクのサイトより抜粋したい。

・会社更生法

申請の対象は株式会社のみで、会社が消滅すると社会的に大きな影響のある上場企業や大企業の倒産に適用されるケースが大半である。
裁判所は「更生手続きの開始決定」と同時に管財人を選任し、事業を継続しながら管財人の下で「更生計画」が作成される。
更生手続きをうまく進めるためには事業管財人(事実上のスポンサー)の選任が鍵を握っており、その後の更生計画遂行の大きなポイントとなる。

・民事再生法

株式会社・有限会社のほか医療法人・学校法人などを含む全ての法人及び個人に適用される。経営破綻が深刻化する以前の早期再建を目的としている。申し立て
人は通常債務者だが、債権者による申し立ても可能。経営権は原則として旧経営陣に残るが、利害関係人の申請または裁判所の職権により監督命令・管理命令が
出される場合もある。

詳しくは → http://www.tdb.co.jp/tosan/teigi.html

●「手形を発行しなきゃ絶対倒産しないでしょ」という社長がいるが、ある面でそれは正しく、借金もないのならなおさら安全のはず。

だが、それで安心することは危険だ。
黒字で無借金の会社が事業の将来性を案じて解散するケースが実際にあった。(2003年大阪パルナス製菓)

●本業で利益をあげる方策が見つからないとか、後継者がいないので会社を続けられないときには、「倒産」ではなく「解散」が待っているのだ。

●倒産は何としても避けたいが、倒産することそのものは最悪の結果ではない。私の友人の弁護士は「明るい倒産」の本を書いているほどだ。(早く出版してほしい)
むしろ、倒産を恐れてずるずると深みにはまっていくことの方がもっと悪いのである。

●残念なことではあるが、「事態を打開する方策が見つからない」と追いこまれた経営者もいるだろう。そんなときは一人ですべてを抱え込んではならない。誰かに相談しよう、誰が良いか。

銀行は相談相手としていつも最適だとは言えない。時と場合によっては敵にまわることだってある。

●誰に相談して良いか分からずに困ったときは、まず遠慮せずに私にメールしてほしい。たぶん直接的には何も解決できないかも知れないが、解決の方向を与えてくれるあなたの心強い味方を何人か知っているつもりである。

・武沢直通メール take@e-comon.co.jp