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商談の科学 その2

あなたの会社では何を売っているだろうか。

・ダイエットの必要を感じたお客がスポーツジムへ行く
・英語を学びたくなったお客が英会話教室へ行く
・パソコンが欲しくなったお客がパソコンショップへ行く

上記のそれぞれのお店で待ちかまえている店員さんやインストラクターは、何を売っているか。スポーツジムの場合はきっとトレーニング施設やトレーニングノウハウを売っているというだろう。英会話教室では、英語が話せるようになる技術や環境を売っているというだろう。パソコンショップではパソコンを売っているというだろう。だが、これらはいずれも50点の答えでしかない。なぜなら顧客ニーズがそれぞれ違うからだ。顧客が得られる利益で表現しなければならない。

例えば次のようになる。

<パソコンショップの場合>
・私たちの売り物は、サービスです。お客様のパソコン購入のパートナーとなって親身にご相談に乗らせていただきます。しかも 店頭には、常時売れ筋ランキング上位機種を在庫し、尚かつどこよりも低価格です。

<スポーツジムの場合>
・私たちの売り物はリバウンド撲滅です。トレーニングに来られている方は、どなたも快調に目標に進んでゆかれます。問題なの は、トレーニングに来られなくなった方です。そうした方を放置することなく、適宜訪問して規則的な運動をモティベートする のが私たちの売り物なのです。

このように店頭販売などの客待ちビジネスの場合は、我社・我店はこんな会社です。“この指止まれ”と顧客にアピールすることによって、それに魅力を感じる顧客が集まることになる。

それでは営業マンが訪問して顧客を開拓してくる場合はどうか?基本的には同じなのだが、ひと工夫が必要となる。

さあ、昨日の続きだ。商談のプロセスは次の5つであると説いた。

(1)オープニング
(2)インタビュー
(3)商品説明
(4)クロージングと反論処理
(5)契約と紹介獲得

(1)までがすでに済んでいる。今日は(2)からだ。

(2)インタビュー

私は、全商談プロセスの中で、このステップが一番重要だと思っている。見込客はいま何が問題なのか、そして、これから何を実現したがっているのかを的確に聞き出さなくてはならない。そして、そのために今何をしているかも聞き出し、今のままのやり方で、問題解決や計画の実現が出来そうなのかどうかも聞くのだ。

先にも述べたが、「見込客が買うのは自分の得られる利益」であって、それを実現する手段としてあなたの製品・サービスを利用するのである。

問題を聞き出す、とは言ってもいきなり「あなたの会社の問題は何ですか?」とか、「お宅の会社はこういうことが問題なのではありませんか?」などと言ってはならない。それでは、下手くそな営業マンが使うセリフそのものだ。

見込客が素直かつ真摯に、我社の問題・課題や将来の夢を語ってくれるには、そのような状況設定が必要になる。その伏線は、(1)のオープニングにある。第一印象でお互いが好感を持つことが大切だ。

また日本人はとくに、褒められると謙虚になりやすい。あなたは、訪問先社員の元気の良さやオフィスの清潔さ、応対の良さや生け花の美しさなど、その会社の魅力を瞬時に見つけ、それを褒める。事実に基づいて真面目に褒める。いままでの誰よりも迫力をこめて褒める。相手の会社が自覚している以上に真剣に褒める。

すると、このような会話になる。

「私もこの仕事一筋で5年を経過し、~~という問題を抱えた会社を沢山拝見してきましたし、皆さんずいぶんお困りのようでした。その点、御社はすでに充分クリアされておられるとお見受けしましたが、いかがでしょうか。」

褒められて謙虚になっているところにこうして水を向けられると、ありのままに今の問題を語ってくれるのだ。他の営業マンには語ったことのない、我社独自の“ひどい実態”などを聞かせてくれることも少なくない。

ここまで聞き出せば、商談は半分以上は成功したと言ってよい。あとは、見込客が得られる利益を実現する手段として我社の製品・サービスを語ってゆけばよいだけだ。しかもここから先は、見込客が自分自身に対して売りこみを始めてくれることも多い。

<明日に続く>