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社員からお金を集める会社

●先週は平瀬楽器さんの経営計画書が銀行の態度を変えたという話をご紹介した。大阪の鈴木さんや神奈川の遠藤さんなど、たくさんの反響メールが届いているがそのご紹介はまたの機会に。

★『がんばれ社長!今日のポイント』09年1月22日号↓
http://www.e-comon.co.jp/magazine_show.php?magid=2569

●経営計画書を作り、それを社内外に発表する会社はそれだけですでに少数派だが、それでも世間の1割程度はやっている。
今日ご紹介する会社は、その中でも更に少数派といえる事例だと思う。
それは、経営計画の内容を社員の家族や取引先のすべてに配布している会社だ。それだけでなく、会社が発行する社債を社員とその家族がよろこんで購入している会社だ。
関東にある製造業なのだが、社長の了解を得ていないので今日のところは「A社」としておきたい。

●A社は経営計画書を6穴のシステム手帳にして150名の社員全員に配る。
表紙、経営理念、経営理念の解説文と続き、その次のページが変わっている。「前期の総括」とある。そこは6ページもある。何が書いてあるかというと、前期の経営計画書の中で「こうする」「ああしたい」と書いたことが、その後どうなったのかをフォローしている箇所なのだ。

●例えば、ホームページからの受注がまったくない状態だったA社では、「ホームページを大改造し、HP経由の受注を年間5千万円にする」と書いてあれば、実際に誰がどのような行動をして、どれだけの成果が出たかがこと細かく書いてある。

●達成できたことは最大限に賞賛し、達成できなかったことは曖昧にせず、きちんと評価・総括されている。責任者の猛省をうながす箇所も見られる。

●また、毎月の経営会議でどのような決定を下し、それがどのように遂行されていったか、そして、どのような成果を生んだかまでフォローされているのだ。
この6ページの「前期の総括」を読めば、今日入社した新人でも昨年の社内の様子が手に取るようにわかるだろう。

●A社のガラス張り経営は社員とその家族に高く評価されるにいたった。その結果、少人数私募債に多数の応募が集まる。

A社長はこう語る。

・・・今、銀行さんは市民から0.2%の金利でお金を借りてきて、それを企業などに2%で貸し出している。仕入れの10倍で売る商売をしながらも、自分でリスクを取ろうとしないし、「儲からない」とか言っている。
だったら、我が社は社員とその親族から4%で借りてあげましょう。もちろん決してウソを言わないし、経営内容は正直に毎月公開するという信頼関係ができている。
この制度は4年前に始めたが、発行金額は毎年一回、2,000万円にしている。
募集を開始すると、すぐに社員と親族から10人~20人の応募があり、それだけで募集金額に達する。当然、先着順で締め切らせていただく。
3年後に元本をきちんと償還するし、毎年一回、4%の利息をきっちりお支払いする。
会社としても、三年間にわたって元本返済が必要ないお金が毎年入ってくるわけで、これほどありがたい資金調達はない。
発行事務も全部社内のスタッフが勉強してやっているので、第三者に手数料を取られることもない。なぜよそさんはやろうとしないのか、不思議だ。
・・・

→ http://ja.wikipedia.org/wiki/少人数私募債

●財務内容が安定しているからこそ出来る芸当かもしれないが、A社の取り組みは多くの中小企業の参考になるはずだ。
「ウチではできない」と決めるのではなく、「どうしたらそれが可能か」を考えてみよう。