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続・サザンオールスターズ ライブに行って

「私もあの日、ナゴヤドームにいました」という連絡が数人から入った。数万人もいれば、かなりの知人があそこに居たと思われる。「へぇ、ニアミスですね」「すれ違っていたかもしれませんね」と返信したものの、あの状況ではニアミスとも言えないだろう。

今回サザンのライブに初めて行って感じたことは、今さらながらプロは歌が圧倒的にうまいということ。しかも個性が強いだけでなく、歌うという行為への情熱がお客をあ然とさせる程のものであるということ。

カーテンコールをせがまれ、アンコールにあらわれる。普通は1~2曲歌ってから本当に去っていくのがライブの流儀。ところが桑田とサザンは、「まだ去らないの」とお客に思われるまで、いや、一部のお客は実際に家路についていくなかをステージに立って語り続けていた。

その姿はライブというより、落語家の追い出し(ハネ太鼓)のようでもあった。ステージで3時間半ノンストップで歌い続けた彼ら以上に疲れきった(満足しきった)表情の客が多かったのは、観客のエネルギーを自分たちに環流していたからだろう。

ところで桑田のあの歌声、それにあの独特の歌い方はどのようにして生まれたのだろうか。実は、ちょっと意外だが桑田は高校時代から前川清の大ファンだったそうで、その歌い方を真似たらしい。ウィキペディアにこうある。

・・・独特の歌唱法は、高校時代より大ファンだった前川清から来ており、洋楽ではボブ・ディラン等の影響を受け、学生時代は声質をより近付けるため、ウォッカで喉をうがいし、自宅の部屋にこもって枕に顔を押し付けて大声を出し続ける等などの荒行も行っていたという。
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「たまにはライブで歌詞を一度も間違わないでほしい」と原(奥さん)が公言するほど、桑田は歌詞を間違えることが多い。そのくせ、ライブ会場の大型スクリーンに桑田は全曲、歌詞を表示させる。それどころか、サザンが出るテレビの音楽番組では、必ず歌詞の字幕スーパーが入る。今ではそれも当たり前だが、そのきっかけを作ったのが桑田だった。桑田の早口の歌い方に視聴者が「歌詞が判らない」と苦情を寄せたため、テレビ局が桑田のときだけテロップ表示を行い、それが他の歌手に普及していったという。

そうした “事件”以降、歌い手は歌詞を間違えられなくなった。なにしろ、歌詞が画面の下に出ているのだから間違えたらすぐにわかる。しかし歌手が見るためのモニターも同時に普及したので、かえって以前よりも歌詞まちがいは減った。今回の名古屋ライブで私はその点(歌詞間違い)も注目していたが、一箇所あきらかに歌詞をごまかしていたところがあった。しかもそのゴマカシが実に自然で、聴衆に気づかせないすごいワザであった。

こんなエピソードがある。
サザンの大ファンである平井堅が売れる前のこと、「コーラスでいいので雇って欲しい」とデモテープを桑田の自宅の門に置いていったという。手紙まで添えてあったらしい。

以下、ウィキペディア。

・・・後に、このテープに関し桑田は「雇っておけばよかった」「つめが折ってなかったから、EXILE録っちゃった」と、冗談交じりに発言している。このテープは桑田の自宅に保管されており、その後、自身のFM番組に平井堅がゲスト出演したときに平井のテープの音源が流された。
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平井のサザン入りは幻となったが、その後、サザンのライブステージにゲスト出演したという。

私が一番好きな曲は『TSUNAMI』だが、あの日以来、この歌を封印している桑田。復興のあかつきの曲として、もう一度心をこめて『TSUNAMI』を歌える日がくることを願っているという。

帰宅後、私はサザンの曲をネットで購入することにした。まさか iTunes Store にサザンの曲が400以上もあるとは知らず、選曲にかなり難航した。