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我が食欲に感謝したい

吉田君はいつも反省します。反省を糧にして生きているようです。スマホアプリで日記を書きはじめてもうすぐ3年。一日も休んだことがありません。ある日、お願いして少しだけ見せてもらいました。

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8月19日(木)、今日は朝、20分寝過ごしてしまった。寝起きは潜在意識の表れというから、私の意識のどこかに甘さが残っ
ている。もっと目標意識を高めねばならない。

10月22日(金)、ジムで筋トレと有酸素を90分やった。少しマンネリ気味のメニューなので次回から負荷をあげよう。それよりも、夕食後のコーヒーゼリー癖がなおらない。ゼリー一個で有酸素1時間に相当すると分かっているのに悪癖がなおせない。俺は痩せたいのか、喰いたいのか、自己矛盾もはなはだしい。しっかりせよ自分!
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いかがでしょう。
ときどき自分をほめたり、誰かに感謝することも書くそうですが、大半はこの内容のように自分への”反省”だそうです。

斉藤君もスマホで日記を書いています。彼は”反省”よりも”幸せ”にフォーカスしているようです。「少し見せてください」とお願いすると、スマホを渡しながらこう言いました。「別に隠すことは何もありません。飽きるまでご覧ください」

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4月6日(火)、桜満開。一気に春めいてきたせいか、グッスリ眠れる。今朝は20分ほど寝過ごしたがすごく気持ち良く眠れてリフレッシュできた。今日は良いことがありそうな気がする。

5月9日(日)、雨。連休あけの最初の日曜日が雨なので今日はジムで汗をかいた。たっぷり汗をかいて気持ちよかったが、夕食の焼肉を食べすぎたのと、食後にコーヒーゼリーを二個も平らげ、ちょっとやり過ぎた感じだが、旺盛な食欲がいっこうに衰えないことに感謝したい。
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脳はもちろん、胃や腸や他の臓器や、血液やリンパまでもが自分の気持ちのもち方次第で動きがかわります。コーヒーゼリーを食べたあと「しまった」「またやっちゃった」と反省する人はゼリーの糖分が脂肪として貯まります。

反対に、コーヒーゼリーを食べたあと「すごくおいしかった」「また今度もおいしくいただきたいな」と快活な気分で食べ終わると、ゼリーの糖分は気持ち良く消化され、脂肪になりません。言葉や思考が脳を動かし、ホルモンを分泌させるからです。これは食後のデザートに限った話ではありません。人間のやることすべからく同じです。

私がその話をしたところ Y 社長がこう言いました。Y さんがよく行くスポーツジムで時々会うマッチョな黒人がいました。ウエイトトレーニングで鍛えあげた身体はどこにも脂肪がなく、見事な肉体美だそうです。あるとき思いきって Y 社長の方から英語で話しかけてみました。

「ナイスな筋肉ですね。なにかの大会をめざしているのですか?」
「ありがとう。僕はアスリートではないさ。でもこの身体の秘訣を知りたいのかい」
「ええ、知りたいですね」
「なんのことはないさ、美味しいケーキをお腹いっぱい食べられるように毎日鍛えてるのさ」
「ケーキ、え、どういうこと?」
「僕のワイフがつくるチョコレート・ストロベリーケーキは世界で一番おいしいケーキでね、チョコと苺の配合がその時々で変えているので、いつもとても新鮮なんだ。僕はそれを毎日食べるのが楽しみで、こうして身体を鍛えてるのさ」
「毎日一個たべるの?」
「そうさ、こんな大きなやつさ」

と直径30センチぐらいの大きさの輪をつくって Y 社長の顔の近くに差し出したそうです。

きっとこの黒人アスリート(本当の仕事は要人警護だそうです)はケーキを食べるときには反省よりも感謝の方を選んでいるのでしょう。感謝すれば何でも許されるわけではありませんが、やってしまった事をクヨクヨ反省し過ぎる吉田君には少しおすすめの発想法です。