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作戦本部と司令官の関係

●話題の映画「レッドクリフ」を観てきた。かっこいいし文句なし。
来年にパート2があるとは知らなかったが、とにかく三国志ファンにはたまらない映画である。1800年前の三国志を映像でよみがえらせてくれた監督に拍手をおくりたい。

●「赤壁の戦い」(せきへきのたたかい)とは、周瑜(しゅうゆ)率いる孫権軍が圧倒的兵力を誇る曹操軍に圧勝する話として三国志のハイライトのひとつである。

●劉備軍の軍師・諸葛孔明と孫権軍の大都督(だいととく)周瑜が手を組めば、15倍以上の兵力を誇る曹操でも勝てなかった。
作戦の善し悪しが兵力の差以上に勝敗を決する要素なのだということが分かる。

●その逆もある。
いくら作戦が良くても、それを実行する部隊のリーダーが無力では作戦の意味が成さなくなり、結局負ける。

●ドイツ参謀本部は、世界の軍事組織の手本となり、平時においても大規模組織の元祖として、国家や大企業にも大きな影響を与えた近代組織である。
ナポレオン戦争の過程で組織され、モルトケの時代に完成を見た。リーダーとスタッフの関係論として格好の素材にあふれ、今日でも組織を論じる際の、教訓の宝庫である。

●平たくいえば、完璧な人材で構成された完璧な組織を作り上げたわけだが、そのドイツがなぜ戦争に負けたかということだ。

●それは立案と遂行は別の人間が行うからである。

参謀本部の人材がたてた作戦は完璧でも、現場で指揮をとる司令官の力が弱ければ作戦は失敗する。

●仮に作戦が稚拙であっても現場の司令官が優秀ならば、多少は現場でカバーできるが、現場司令官が無力であればすべてのことが無に帰す。

そうした意味において、「赤壁の戦い」では計画立案する人材も優秀ならば、その作戦の意図を汲んで実行する司令官にも優秀な人材がいたということだ。

・経営計画がうまくいかない
・新製品販売が思うように伸びない
・新しい製品開発がうまくいかない

などの問題は、作戦のミスなのか実行部隊の無力なのか、どちらに問題があるのかを吟味し、手を打とう。

(火の国・熊本の阿蘇噴火口にて)