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肩の力を

昨日の内容に関して、たくさんのメールを頂戴した。きっとマガジン創刊以来、最高の数だと思う。30通を超えた。

1.自己暗示に関する切実なご質問・・・Nさん(女性)

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暗示のお話、興味深く思いました。OSの譬えは、納得しやすい考え方ですね。ところで、このOSは主語を認識しないとのことですね。今ちょうど、キャリアに行き詰まっておりまして、積極的な言葉など、とても自分にはかけてあげられない心境になることも多いのですが、「主語を認識しない」という点を逆に利用することはできますでしょうか。自分以外のもの、例えばペットに「キミはいい子だね!」と毎日繰り返したり、いい絵を見て「なんてすばらしいんだろう」と1日1回口に出す、という手段も、有効と思われますか。行き詰まったときほど、前向きになれる人の強さ、なれない人の弱さが表に出るのだなあ、と実感しています。しばらく暗示を実行してみようと思いました。
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なるほど、Nさんの言われる作戦は面白いかもしれない。主語を認識しないということを逆利用して、自分自身はとてもとても誉める気にはなれなくても、周囲を誉めること、周囲に感謝すること、によって結果は同じことになるという仮説もあり得るだろう。

それにプラスして別の新たな提案。それは、進行形を使うという方法だ。

例をあげよう。とても貧乏な学生がいるとする。その学生が、「私はすごい金持ちだ!」と言っても潜在意識のほうが、すぐに「ウソだ!」と反応してしまう。現実とかけ離れすぎた暗示では白けてしまって逆効果になることすらある。そこで、登場するのが「現在進行形」。

「私は金持ちに向かって挑戦している。」
「私は金持ちになりつつある。」
というようになる。

2.周囲に対する暗示効果について・・・山崎 章さん(兵庫県)
テニスアペックス代表 http://www5b.biglobe.ne.jp/~t-apex/

わたくし、テニススクールを運営・指導をする仕事をしております個人事業者です。スクールにいらっしゃる方にはメンタルに興味をお持ちの方も多く私も仕事上多少ながら知識を持ち合わせております。そんなスクールでの事。本日の内容に近いような事が良く起こります。それで以前私なりに実験をした事があります。

テニスはサービスという打ち方から試合を始めます。そのサービスを5~6人ほどの方に、「ネットに引っ掛けないで」とアドバイスをして100球打ってもらいます。

次に、「相手コートに入れて」とアドバイスをして、これも約100球打ちます。すると同じメンバー、同じ球数でも、ネットに引っ掛かる量は後者のほうが断然少なくなります。説明の仕方でネットというものを意識させてしまった結果、このような状況が起こるのでしょうね。

私のコーチングスタッフには、お客様に対して、「失敗例を挙げて、それを否定する説明は避けろ」と言っています。でも、日々人間って最悪の状態を想像して、本当にそうなったときのショックを少しでも和らげようとしているような気がしますが・・・。

山崎さんの例は、経営にもそのまま当てはまる。失敗を否定させるようなリーダーシップをとる会社が少なくないのだ。

・今のままでは明日はない、変化あるのみ
・存亡をかけて戦い抜こう!
・不退転の覚悟をもって今期利益目標を死守しよう

う~ん・・・、これではちょっと肩に力が入ってしまって緊張系のホルモンしか出なくなる。同じことであっても別の表現にしてみてはどうだろうか?
例えば、

・私たちの強みと特技を活かして、こんな挑戦を始めよう!
・バラ色の未来を保証するもの、それはこの目標への挑戦と勝利です
・さらに快適な仕事環境を実現するための第一ゴール、○○の達成

どうだろう。最初の三つの例とあとの三つの例はほとんど同じ意味のことを言っている。にも関わらず、受け手の印象は全然別のものになるはずだ。これは、重要な話だ。ちょっとした表現の違いで、受け手のイメージががらりと変わる。そして、あなたの潜在意識も、受け手の一人であることを忘れてはならない。

否定的かつ破壊的な言葉を使ったときに分泌される、緊張系ホルモンは、我々の脳波をベータ波というものに変える。その結果、不安や不満、それにイライラの感情が募り、ストレスがたまる。それが病気の原因にもなる。緊張系ホルモンの代表が、アドレナリンやノルアドレナリンなどで、人前に出てアガるときの気分や、車に轢かれそうになったときのドキドキ気分や、何かの心配事をしているときの、あの気分だ。

ネガティブな人とは暗い人のことではない。暗い人もいるが、一番多いのは、真面目で責任感が強い人だ。一人で背負いこむタイプの人は自分で想像している以上にネガティブな思考になっていることがあるので要注意だ。知っていることとやっていることとは別になっていることがあるのだ。

その一方、肯定的かつ建設的な言葉を多く使っていると、リラックス系のホルモンがドバッと分泌される。感動と興奮の名画を見たときやテーマパークでわくわくしたとき、大型物件を受注した時のあのウキウキした勝利感は、ドーパミンやβ-エンドルフィンといったリラックス系ホルモンの作用だ。

緊張系とリラックス系、いずれのホルモンを出すかを決めるのは脳である。その脳は、昨日申し上げた単純なOSで動いている。あなたの言葉通りに動くのだ。つまり、あなたのフィーリングを決めているのは、あなたを取りまく状況ではない。あなたの思考だ。よって、現実は不幸のどん底にあっても、あなたが明るい可能性と未来を信じてその一点を見ている限り、リラックス系ホルモンがあなたの全身を駆けめぐってくれるのだ。

倒産して破産することが不幸なのではない。財産没収も一家離散も不幸ではない。旧約聖書「ヨブ記」のヨブがそれを実証してみせたではないか。そうした一見すると悲惨な出来事も、単なる情報や記号の一部でしかない。そうした周囲の状況や現実の環境に対して、人間は驚くほど対応力と順応力をもっている。だから、ボロアパートの生活も豪邸での生活もすぐに慣れる・飽きるという。ところが、心の中に抱き続ける不安とか不満などの感情には対応力を持ち合わせていない。これは慣れないのだ。いっそのこと不満や不安はそのような現実になったほうが楽なのだ。

このように、ふだんから緊張系ホルモンしか出ていないことが本当の不幸だと思うのだ。なぜ緊張系ホルモンしか出ないような思考になるのか?それが問題だ。

私は哲学に関係すると思うがどうだろう。

<奥深いテーマだが、肩に力が入りすぎない程度に考えてみたい>