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続・主人公は誰

●現代の病だと思っていた「うつ病」も、古代ギリシャ神話の時代からあるらしい。それに、旧約聖書にもしばしば「うつ病」患者が登場しているというから、この病は人間と切っても切り離せないものらしい。

★うつ病の真実(野村総一郎 著)
https://sslserver.sbs-serv.net/nippyo/books/bookinfo.asp?No=3301

●昨日号にご登場いただいた羽根田真希子社長(仮名、38才)は典型的なガンバリ屋さんタイプ。
責任感旺盛で人が喜ぶことなら何でも引き受け、手際よくそれらをこなしていく。

●会社のため、前夫のため、社員のため、お客様のため、子供のため、親戚のため、PTAのため、町内会のため、ワイン同好会のため・・・

いつも何かのために時間がとられ、気が休まる時間が大幅に減った。
タフな彼女といえどもそれがストレスとなり、徐々に自分を攻撃し始めているのに気づいたという。
以前ほど熟睡できないし、酒量も増えてきた。一人になると気がふさぐことが多くなってきたのも最近の特長だという。

●誰かのためにガンバレルことは素晴らしい。
人のために生きる、人を気づかって生きること自体は大変素晴らしいことだと思うが、あくまで主体性は自分の側になければならない。

●誰かの人生ではなく、自分の人生なのである。
自分の人生が誰かの役に立つのは喜ばしいことだが、何かに翻弄されて、他人の人生になってしまうことは避けねばならないのだ。
あくまで主人公は自分である。

●臨済宗をひらいた臨済禅師が修行僧に説いた。

「随処(ずいしょ)に主(しゅ)となれば立処(りっしょ)皆真なり」

・・・いつどこにあっても、如何なる場合でも何ものにも束縛されず、主体性をもって真実の自分として行動し、力の限り生きていくならば、何ごとにおいても、いつ如何なるところにおいても、真実をつかんで離さない。そうすれば、外界の渦に巻き込まれたり、翻弄されるようなことは無くなる。
・・・
という意味である。

●フランスで書かれた『簡素な生活・・一つの幸福論』(シャルル・ヴァグネル著)の前書きにこうある。

・・・近代生活の複雑な動揺の中で、われわれのくたくたに疲れた魂は簡素を夢見ます。
簡素な生活は特殊な経済的あるいは社会的条件に依存するものではなく、むしろ多種多様な生活を活気づけてこれを変えることのできる一つの精神なのです。
簡素な生活をあこがれることは、まさに人間の最も高い運命を完成しようとあこがれることです。
・・・

●さて、この『簡素な生活』の初版はいつか、ご存知だろうか?

あなたの年令より間違いなく上だ。それは、1895年5月である。103年前に書かれた本だ。この当時から人間はすでに複雑だったようだ。
いや、200年前も500年前も1,000年前も複雑だったろう。何しろ、古代ギリシャの時代からうつ病患者がいたくらいだから。

●ほかっておけば、人間の生活も会社の経営もどんどん複雑になっていくものらしい。
だから、船が停泊地で蛎殻(かきがら)を落とすように、私たちも時々生活の殻を落としてやらねばならない。禅僧のように、極端にそぎ落としていってちょうど良いくらいだろう。

●ちなみに『簡素な生活』を送るためには同著を読むのが一番だろうが、少々わかりにくい箇所が多い。
まずはてっとり早く、本の目次をご覧になれば、簡素にすべきテーマがわかるだろう。

第一章:複雑な生活
第二章:簡素の精神
第三章:簡素な思想
第四章:簡素な言葉
第五章:簡素な義務
第六章:簡素な欲求
第七章:簡素な楽しみ
第八章:営利精神と簡素と
第九章:売名と世に知られぬ宝と
第十章:世俗趣味と家庭生活と
第十一章:簡素な美
第十二章:交際関係における傲慢と簡素と
第十三章:簡素のための教育
第十四章:むすび

●私は羽根田社長にシンプルな原則に立ちかえることをご提案した。
まずは坐禅道場を訪れて瞑想する時間をもつことと、『簡素な生活』をお読みになることである。

もちろん会社経営の方では、経営マニフェストを制定することも。

★本格的な坐禅は井上老師のここがいい↓
少林窟道場(広島) http://www.geocities.jp/shorinkutu/
(来週、東京座禅会もあります)

★北川八郎先生の「楽心会」もおすすめ
次回名古屋開催は9月27日(土) WEBなし

★『簡素な生活』 http://www.amazon.co.jp/dp/4061594869/