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中道と八正道

快楽の生活にふけることが良くないのと同様に、自分を苦しめる難行苦行の修行僧のような生活も間違っている。
中道(ちゅうどう)が大切なのである。中道とは何か。
足して2で割った中間という意味ではなく、両極にぶれない正しい道のことである。正しい道とはなにか、・・・。

そんな智慧を学んだのは、昨日の「クローバ経営研究所」(代表:松村寧雄社長)主催「経営セミナー」である。

同社は、マンダラ手帳のメーカーとしても有名。

「仏教は宗教ではなく、今を生き抜く知恵のシステムである」という考えのもと、仏教の教えを会社経営や個人の人生に当てはめる知恵を学ぶことができるセミナーで、私もほぼ毎月参加している。
これがとてもいい。 http://www.myhou.co.jp/seminar/index.php

ちなみに、松村先生の経営セミナーの年間体系は次のとおり。

1月:相互依存の原則 「空」の智慧
2月:あるべき姿の原則 「苦集滅道(くしゅうめつどう)」の智慧
3月:統合力の原則 「マンダラ」の智慧
4月:人生百年計画をマンダラチャートで作る ブッダの生涯に学ぶ
5月:企画開発の原則 「中道」の智慧
6月:環境整備の原則 「唯識(ゆいしき)」の智慧
7月:自己実現の原則 「十二縁起(じゅうにえんぎ)」の智慧
8月:お休み
9月:仮説・検証の原則 「禅(ぜん)」の智慧
10月:継続改革の原則 「無常(むじょう)」の智慧
11月:「般若心経(はんにゃしんぎょう)」の智慧
12月:お休み

毎回のテキストも充実していて、昨年のものを使い回しせず、たえずテキストも進化しているのが分かる。
昨日の講義、「中道」で印象深かったのは次の箇所。仏典にあるこんな教え。

・・・

比丘(びく、修行僧のこと)たちよ、これら二つの極端は出家したものが近づいてはならない。
二つとはなんであるか、それは一つには、もろもろの欲望の対象において歓楽の生活に耽(ふけ)ることで、下劣で、卑しく、凡俗の者のするところであり、聖なる道を行う者のするものではなく、真の目的にそわないものである。
また、それは二つには、自分を苦しめることに耽(ふけ)ることで、苦しく、聖なる道を行うもののするものではなく、真の目的にそわないものである。
比丘たちよ、これら二つの極端に近づくことなく、如来は中道をさとった。
(中略)
中道とはなんであるか。これこそ聖なる八つの道(八正道、はっしょうどう)である。すなわち、正しい見解、正しい思考、正しい言葉、正しい行為、正しい生活、正しい努力、正しい念慮、正しい三昧である。
比丘たちよ、これが如来がさとったところの、真理を見る眼を生じ、真理を知る知を生じ、心の静けさ、すぐれた智慧、正しいさとり、涅槃へと導く、かの中道である。(律蔵・大品 1~24)

・・・

八正道を整理してみよう。

1.正見(しょうけん):正しい見方
この世の全てのものを「空」(くう)と見る。そのもの自体に実体はなく、すべては関わり合い(相互依存)によってできていると見るのが「空」。

2.正思(しょうし):正しい考え方
「慈悲の心」ですべてを考える。

3.正語(しょうご):正しい言葉
「うそ」を言わない。

4.正業(しょうごう):正しい行為
「利他行」つまり、他者の利益になる行為の実践。

5.正命(しょうみょう):正しい生活
規則正しい生活サイクルを実践する。早起きして一生懸命仕事をし、早く帰宅して早く寝るということを淡々とくりかえす。ただそれだけ。

6.正精進(しょうしょうじん):正しい努力
善いことは実践、悪いことは即止めること。

7.正念(しょうねん):正しい念慮
成し遂げたいこと、解決したい問題を常に思い(念じ)続ける心をもつ。

8.正定(しょうじょう):正しい瞑想
全ての思考を停止することの実践、つまり坐禅をすること。
全部忘れることで、もっとも豊かな考えができるようになる。

八正道の反対に「十悪業」というものもある。

1.「貪」(とん、むさぼりのこころ)
2.「瞋」(じん、怒りのこころ)
3.「癡」(ち、道理をわきまえない愚かさとグチのこころ)
4.「邪淫」(じゃいん、肉欲だけで異性と交わること)
5.「殺生」(せっしょう、生き物を殺すこと、残酷なこと)
6.「偸盗」(ちゅうとう、人のものを無断で盗むこと)
7.「妄語」(もうご、つくり話・うそ・大げさ)
8.「綺語」(きご、真実にそむいて巧みに飾り立てたことば)
9.「悪口」(あっこう、人を悪く言うこと)
10.「両舌」(りょうぜつ、その場その場で調子のよいことを言い、矛盾やウソになること、二枚舌)

これら「十悪業」をなくそうなくそうと意識すればするほど十悪業の呪縛から離れられなくなる。
だから「十悪業」を意識するのではなく、生活全般を「八正道」に支配させようということだ。

こうした “まっとうな” 内容を、分かりやすく、説教クサクなく、楽しく、なおかつそれを会社経営につなげて語ることができる講師は、日本広しといえども、松村寧雄先生の右に出る人はいまい。
寂聴(瀬戸内)さんの法話も楽しいが、会社経営まではご存じない。

松村寧雄の経営セミナー↓
http://www.myhou.co.jp/seminar/index.php

松村先生がパテントをもつ「マンダラチャート」に今年、学会ができた。その名もずばり「マンダラチャート学会」という。

6月21日(土)に第一回総会が都内のホテルで開催される。
おそれ多いが、私もマンダラチャート、マンダラ手帳の愛用者として体験談をお話しすることになった。
ご興味のある方はこちらの総会に参加されるのも面白いだろう。
気さくな松村先生のことだから、「学会」とはいっても堅苦しいものにはならないはずだ。

マンダラチャート学会↓
http://www.mandalachart.jp/kai/sokai20080602.php