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ホメオスタシス

フィットネスのコーチから助言を受けた。

「武沢さん、減量されるのなら今の体重の5%を上限にして下さいね。それ以上やるとリバウンドの確率が大変高くなりますから。」

「え? そうなんですか。5%でも10%でもリバウンドの確率は一緒じゃないのですか?」

「はい、確率は全然違うと思って下さい。ホメオスタシスって覚えておられませんか?」

「ホメオ・・・?」

ホメオスタシスとは、生理学者ベルナールが名付けたもので、ラテン語の“ほぼ一定”の「ホメオ」と、“状態”の「スタシス」から名付けられたものだ。人体では、元々あった状態が何かの理由で乱されようとする時、もとの状態に戻すような生理的機能が常に働く。それをホメオスタシスと言い、日本語では「恒常性維持」とも言う。

我々にはこの機能があるおかげで、体温や血流量、血糖値やホルモンなど、様々なものを全自動で自己調節してくれているのだ。これが上手く作動しているときは、「健康」であり、うまくいっていないときが「病気」や「体調不良」になるという。

行き過ぎたダイエットは、身体が「異常事態」と認識してしまう。その結果、少ない栄養分を必死になって体内に貯め込もうとする機能が高まり、運動をやめたり、食事を元通りに戻したとたんに、俄然、体重が前以上に増えだすというのだ。

ホメオスタシスとは、諸刃の刃である。遭難した時には、わずかな食料でも生きる延びることができたりするのは、ホメオスタシスのお陰だ。しかし、ダイエットでリバウンドしてしまうのは、ホメオスタシスの仕業でもある。

ホメオスタシスとは、極めて保守的でガンコな人間だと思えばよい。いま始まった変化が、良い方向への変化だろうが、悪い方向への変化だろうが、お構いなしに抵抗するのだ。とにかく過激な変化には敏感に抵抗する、それがホメオスタシスの本質だ。

ホメオスタシスに気づかれないように変化をおこすには、徐々にやっていくしかない。

さて、このホメオスタシスで私が申し上げたいメッセージは、いよいよここからなのだが、紙面がなくなった。

人間の生理機能の話だけなく、経営の話をしようじゃないか。ホメオスタシスは、私たち個人や組織の挑戦や成功という概念にも密接に関係しているという事について明日、掘り下げてみよう。

<明日に続く>