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限界効用

仕事を終え、仲間と飲む1杯めの生ビールは最高にうまい。その価値は千円以上払っても良いほどだ。ところが、5杯めになるとありがたみがなくなり、ほとんど水と同じに感じてしまう。やがて10杯めほどにもなると、コップを見る気もなくなる。

このように、価値を追加するほどにその効果が減っていく現象のことを「限界効用逓減の法則」という。もっと分かりやすく知りたい人は、このサイトがおすすめだ。
http://www2.nasicnet.com/~tell-g/kougi22.html

この法則は結構使える。

英語の語源辞典を作った英国言語学者のスキート氏は、きっとこの法則を熟知していたに違いない。膨大な書籍・辞書・資料にかこまれながら、一つひとつの単語の語源を解明していく作業は、気の遠くなる作業だ。常識的な仕事ぶりでは一生かかっても完成しない。そこでスキート氏は、あるルールを決めた。

それは、「三時間調べてもわからないものは『不詳』として先へ進む」というルールだ。

ごく簡単なルールなのだが、それを守るのは容易ならざることだったに違いない。なぜなら、興味がどんどん発展して、たった一つの単語に膨大な時間をかけてしまう誘惑があったはずだ。また逆に、精神が集中しない状態で、あっという間に三時間を経過してしまうということもあったはずだ。

そうした個人的・非生産的な仕事に対して、三時間という基準で仕事をコントロールするには、すさまじい集中力が必要だったに違いない。

辞書の完全さよりも、完成を先決させるという方針は合理的だ。そうして発売されたスキート氏の辞書は、今でも世界基準の一つとして利用されているという。

さて、限界効用の法則は、あなたの身の回りでどのように作用しているだろうか。

・考えれば考えるほど決断できなくなる
・調べれば調べるほど分からなくなる
・仕事をすればするほど儲からなくなる
・残業が多い会社ほど生産性が低くなる
・・・etc.

部下と一杯の生ビールを飲みながら、話し合ってみてはいかがだろうか。