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他人のアイデアに狂うのも悪くない

社長は熱狂しているか、それとも迷っているか、単に漂っているか、のいずれかだろう。
もちろん、狂った方が良い。狂うとは言ってもなにかを狂信・盲信するわけではなく、頭はクールに心は熱く、行為は偏執狂のようでありたいもの。

あなたが狂えるか狂えないかは、ある程度性格の問題もあるようだ。
何をやっても熱中できないし興奮できないという人は狂えない体質のようだ。経営者は狂える自分を開発してゆこう。

昨日は東京で、狂える若者と会った。

事前のメールによれば、「最近、勤務先を辞めたので、ご挨拶に名古屋まで伺います」とある。わざわざ新幹線代を使わせるのも気が引けるので、私の出張にあわせて都内でお会いしたが、その要件は健康食品と美容のネットワークビジネスだった。

カフェのテーブルにそのビジネスのパンフレットが乗った瞬間に、「あ、彼はこの話しがしたかったのか。メールで要件を確認すればよかった」と反省した。そして互いの時間の節約のためにこう告げた。

「もし今からこのビジネスの話題をされるのなら、まず先に私からこのビジネスの経験談をさせてほしい」

と、10年以上前の体験を申し上げた。

私の体験談とは、

当時話題のニュービジネスがアメリカから上陸し、東京ドームまで入会説明会に参加し、会員登録し、億万長者と安定不労所得を夢見て熱狂した経験を申し上げた。
約一年、そのビジネスの商品を毎月10万円以上も消費し、配下にはある程度の会員を集めた。15万円程度の月収を得るようになっていたので、悪くはない立場にもなった。私がアポを取って訪問し、デモに行く相手は皆、嫌な顔をせず一回は付き合ってくれた。

その後、何があったという訳でもないが、気づいたらもっと面白いインターネットに夢中になっていたという次第。

「そうでしたか、武沢さんもこのビジネスをおやりになったことがあるのですね」と彼。

「大ありです。友人だけならいざ知らず、コンサルタントとして顧先の社長にも商品やビジネスを推奨してまわったので、一部の社長は除いて、ほとんどの社長が私のまわりから去っていきました。その時は狂っていたので気付きませんでしたが、少なくとも40代の経営コンサルタントがやるビジネスではないと後から気づきました」とも付け加えた。

「だからあなたもやめろ」とか、「ほかのにしろ」などと彼に対して野暮な立ち入りはしなかったが、こうしたビジネスに熱くなれる彼は将来性ありだ。

なぜなら、他人が作ったビジョンやアイデアにこれだけ熱くなれるということは、自分のすごいアイデアにはもっと熱くなれる可能性があるからだ。
ただし、いつまでも他人のアイデアだけを頼りにし続ける”依存人間”や”受け売り人間”になってはいけない。どこかで独り立ちすべきだろう。

今夜、私はある居酒屋チャーンで講演する。のれん分け店長やFCオーナーたちが集まるという。
本部のビジョンやアイデアに共鳴し、熱くなっている彼らを支持するスピーチをしてくるつもりだ。

・「大切なことは、熱狂的状況を作ることである」(ピカソ)
・「熱狂できないということは凡庸のしるしだ」(作家:バルザック)
・「安定した新しいメディアを構築する秘訣は、情熱・人材・忍耐力・見通し、そしてパラノイア(偏執狂)になることだ」 (AOL創業者:スティーブ・ケース)
・「熱狂せずに作られた偉大なものは何もない」(エマーソン)
・「結果というものにたどり着けるのは、偏執狂だけである」 (アインシュタイン)
・「正論では革命をおこせない。革命をおこすものは僻論(へきろん)である」(西郷隆盛)
・「経営者は熱狂的状況を作りだす張本人でなければならない」(武沢信行)

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