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二社の経営理念から

経営理念やポリシーの内容に対して、正解・不正解というものはない。いかなる理念や社是・社訓を掲げようとも、それはあなたの会社の価値観の問題なので、他者がその是非を語ることはできない。「この指とまれ」方式で良いのだ。

大切なことは、その内容よりも、“こだわり”である。そのこだわりが行動に反映され、強烈な思想となり、メッセージ性をもったとき、理念やポリシーは組織の中で息づき脈打つ。

【我々は、常に一番でなければならない。二番以下のすべては敗者である。】
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これは、先日お会いした某小売業の経営理念の一節だ。「完全か無か」「All or nothing」、ドイツ自動車メーカーのポリシーのようでもある。事実、このお店が出店している8店舗のすべてが地域一番店であり、二番店以下のお店は過去に4店閉鎖してきているという。

【お客様の喜びが私たちの喜びです。私たちの仕事は、お客様の喜びによって評価されます。】

これは、某ガソリンスタンドの経営理念の一節だ。お客様満足の評価基準値をリピート率(再来店率)に設定してある。このリピート率が個別の店舗単位で目標設定され、実績がチェックされている。

経営理念は「この指とまれ」で良い。「当社はコレへのこだわりが一番!」という、コレを表明するものである。

ゆえに、二番め以下のことがらに対しては、それを軽視しがちになる。作用があればかならず反作用がある。その反作用の部分も良く理解しておく必要がある。例えばこうだ。

【我々は、常に一番でなければならない。二番以下のすべては敗者である。】という理念の場合。

つねに最善の仕事を要求しつつ、一番という相対的な中での順位も気にしなければならない。その緊張感はすばらしいが、時には自分や我社、我スタッフをほめてあげるような心の余裕も忘れないでいてほしい。

【お客様の喜びが私たちの喜びです。私たちの仕事は、お客様の喜びによって評価されます。】という理念の場合。

映画俳優のビル・コスビーは次のように語っている。

「成功の秘訣はわかならい。しかし、失敗の秘訣は、『誰かのため』を理由に何かをすることだ。」

・お客様のために
・社員のために
・株主のために
・取引先のために
・家族のために
・・・etc.

「自分のため」が出てこない。自分のためにやっている仕事が、結果としてお客様のためになっているような仕事を考えることも大切だ。

経営理念とは「この指とまれ」で作るものだ。その理念があなたそのものであり、あなたの企業そのものだ。であるがゆえに、まったく別の角度の視点を見失わないような目配りを心がけよう。