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和して同ぜず

これから会社を興そうと考えていながら、「でも自分は、経営者に向いていないのではないか?」と考えこんでしまう人がいる。

・自分は子供の頃からリーダーになったことがない
・声も小さいし、身体も小さい、気も小さい
・営業や交渉事に向いていない

などを理由に、自分は大した経営者になれないのではないかと逡巡してしまうのだ。

そんなことはまったく関係がない。
「自分は社長として立派にやっていける」と最初から信じ込んでいる人の方がむしろ危ないのだ。

そういえば、先週の香港非凡会でも「経営者の向き・不向き」の有無について尋ねられた。

船井幸雄さんの本を読めば、良い経営者の条件として「勉強好き」「努力好き」「素直」の三つをあげておられる。
私もそれに異論はないが、なにもその三つは経営者だけに必要なものではなく、人として成長するためには誰にも備わっていなければならないものだとも思う。

そういう意味において、経営者だけに特別要求される要素というものを考えてみると、私は「群れたがらない」というものがあると思う。

「小人は同じて和せず。君子は和して同ぜず」と言うが、周囲と同じ考えや行動であることで安心してしまう。それでいて、互いの考えを深く理解しようとは思わない。それは小人、つまり愚かな人たちのやることだ。

経営者たるもの、君子の視点を持っていたい。
それは、「和して同ぜず」なのだ。

「和して同ぜず」とは、周囲の考えや行動を理解しようと努力するが、行動は決してそれらに同調するわけではない。むしろ、周囲と同じ行動を取ることを本能的に拒否したがるぐらいがちょうどよい。

ただし、行き過ぎると、「和せず同ぜず」のひねくれ者になってしまうので注意しよう。

そうした意味において、交流会や飲み会、コンパの類に積極的に顔を出すのは注意しよう。そういう場で、周囲と仲良くやれている自分をみて安心してしまうからだ。そんなのいくら回数重ねても「同じて和せず」になってしまう。

良い経営者はそうした場に滅多に来ない。群れるのを嫌がるからだ。

そういう人を追いかけてサシで話を聞きに行こう。「和して同ぜず」のタイプはいつも少人数で飲んでいるか、一人で飲んでいる。
会いたがる相手、追いかける相手から逃げるのも上手なので、上手にエサを仕掛けて有利な条件でサシで会おう。