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謙虚 is ・・・

昔から「人は謙虚でなければならない」と教えられる。ことわざに「能ある鷹は爪を隠す」というのもある。

「おれはスゴイぞ」なんて自分の才能や実績を自慢気に吹聴ばかりしていると、”あいつ鼻持ちならぬヤツ” と、周囲から反感を買うから謙虚でないとダメなんだ、とずっと私は思ってきた。

だが、謙虚でなければならない理由はもっと他にあると気づかされる出来事が先週あった。

ある地区で講演し、その二次会の居酒屋で。

いろんな方がビールを注ぎに来てくれる。その中に、65才くらいの占い師の男性がいた。
私の講演を聞くのは二度目だという彼は、私の横へ座るなり、「武沢さん、あなたが以前に講演で言っておられた、最後に勝つのは駿馬ではなく駄馬だ、というあの話、私も基本的に賛成だ」といきなり切り出された。

理由を聞いてみると、

「武沢さん、人は長所でつまずくんだ。短所でつまずく人は滅多にない。なぜなら短所の方はそれを自覚しているから用心する。だが、長所の方は、それで自分がつまずくなど、思いもよらないからそれを伸ばそう、変えようとしない。それが失敗につながるんだ」という。

なるほど、一理ある。

たとえば話し上手。話術が巧みな人は話術の才能でのし上がっていくが、慢心すると、その話術で墓穴を掘る。イケメン俳優はイケメンを鼻にかけて失敗し、営業力に自信をもっている社長は自分の営業力の強さ故に社員に強い営業部隊を作ることができないで失敗する。

ではどうすればよいのだろう。長所が失敗につながりやすいのなら、長所をなくせ!という議論なのだろうか?

そのあたりを占い師の彼に尋ねてみると、

「だから人は謙虚でないとダメなんだ」と。表面的な謙虚さだけではダメで、本当に心の底から「いいえ、まだまだです」という気持ちがなければならず、それには高い理想が必要だと。

高い理想があれば今の自分の才能や実績に慢心しているヒマはない。

昨日の日曜日、カンヌでグランプリをとり、白鵬が横綱取りをほぼ成功させ、牝馬が64年ぶりにダービーを獲った。
彼ら彼女らは目標を達成したわけだが、おそらくゆうべは勝利の美酒に酔いしれたことだろう。

立ち上がれなくなるまで飲んで騒いで構わないだろう。それほどの快挙なのだから。
だが、酔いからさめるとき、次の目標を定めてチャレンジャーになることができれば、謙虚さは自ずと備わるはずだ。

四年に一度の五輪大会に随行する各国のメンタルコーチが一番難しい仕事は、敗れた選手のフォローではなく金メダルを取った選手のフォローだという。酔いしれて、やがて燃えつきるからだと。

まとめ・・・謙虚さは力だ。

人は長所でつまずく。だから、今の長所なんてまだ長所とは言えないと思えるほどの高い理想をもって、謙虚でいられるようにしよう。