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刮目する社長

三国志の時代、先輩の魯粛(ろしゅく)が、後輩の呂蒙(りょもう)に向かってこう言った。
「あなたはもう、私が知っている昔の呂蒙ではありませんね」

そう言われた呂蒙はうれしそうに、

「士、三日会わざれば刮目(かつもく)してあい待つべし」(武沢訳:士たるもの、別れて三日もすれば、相手が目をこすってこちらを見直すほどに進歩していなければなりません)

この有名なエピソード、舞台背景はこうだ。

若いころ、武勇だけがウリだった呂蒙。だが、大将の孫権が呂蒙の聡明さに目をつけ、学問を身につけることを勧めた。
以来呂蒙は、コツコツと書物に親しむようになり、学を修めた。

あれから、何年。

孫権率いる呉の国の対外政策を担っていた魯粛が、呂蒙を訪れた。呂蒙の先輩でもある魯粛は、武勇だけの後輩・呂蒙のその後の大変化を知らない。

対・関羽作戦について、具体的な計略を示さない魯粛に対し、呂蒙は関羽対策の重要性を述べ、五つの策を示した。その戦略的な策戦は、魯粛を驚かせるに余りあった。

そのときのやり取りが冒頭の「三日会わざれば・・・」につながるというわけだ。

私はこのエピソードが大好きだ。サラリーマンのころ、酒席になると、「おとこ武沢、三日会わざれば刮目してあい待つべし」などと豪語し、気焔をあげていたことを思い出す。

今では宗旨替えして、
「経営者、三日会わざれば刮目してあい待つべし」と述べるようにしている。経営者は何才になっても現役である限りは周囲を刮目させるほど成長せねばならないからだ。

先週金曜日、久しぶりにお目にかかった岡設計の岡社長(実名)も、還暦を過ぎられてから経営者としての本格的な急成長が始まったようにお見受けする。

機械設計事務所として、この数年間で社員数は10倍となり、売上高は3年で2倍を達成し、今後の3年でも倍増を計画しているという。

顔色もツヤツヤされ、成功者のオーラが周辺に充満している。躍進の秘訣を聞いてみると、三つ答えが返ってきた。

1.意欲的な経営指針書(事業計画書)を作り、社内外で発表した。
同時に、新卒採用を始めた

2.大好きなゴルフと車の運転をやめて、ウォーキングを始めた

3.お客さんのニーズに合わせてビジネスモデルを変えた

特に3番目。

昔は、「岡さん、図面を書いてよ」という仕事の依頼だったが、最近は「岡さん、図面書ける人おらん?」という要望に変わってきたという。そこで設計を請け負う仕事ばかりでなく、設計技術者の派遣を始めたところ、急成長が始まったという。

数年前は「技術者」だった岡社長が、今は「経営者」岡社長に変身していたわけで、私は思わず刮目した。

今夜の京都非凡会にお越しになるというので、楽しみだ。