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人間学を養う

「武沢さん、『致知』では広告を出すのが初めてのことなのでわからないのですが、どれくらいの効果を期待すれば良いものですか?」

と致知出版社の柳澤編集部長に尋ねられた。
私もこうした専門誌の定期購読を紹介する号外広告は記憶がない。

「う~む、たしかなことは申し上げにくいのですが、とりあえず経費を回収できたら成功と考えましょう。仮に一円でも利益が出たら、利益が出続けるかぎり続けられてはいかがですか」

と申し上げたが、内心では「10冊で成功かな」とも思っていた。

そして、一昨日(7月11日)。
「がんばれ社長!」の号外版としてお届けした月刊「致知」の定期購読申込み者は、初日だけで63人に達したと編集部長から連絡を受けた。

私も彼女も「これは、奇跡だ」と思った。

その理由のひとつは、広告効果の高さだ。

手前味噌ながら、号外広告一回あたりのコスト157,500円(税込)に対し、年間定期購読料1万円(税・送料込)の月刊誌を63人分販売したというパフォーマンスの高さは驚きとしか言いようがない。63人の中には、三年購読者(2.7万人)も含まれているというので、売上は70万円に達しよう。その多くが、来年以降も継続してくださるに違いない。
この広告効果にご不満のある方はそんなにいまい。

もうひとつの理由は、「がんばれ社長!」読者の心意気の見事さである。
“人間学を学ぶ月刊誌”、という極めて硬派な商品を即決で注文してしまう決断力の潔さには感動すらおぼえる。

月刊「致知」 http://www.chichi.co.jp

閑話休題
人には人それぞれの背景があって、今の人が出来ていることを思い知る。
致知出版社の藤尾社長が毎号の「致知」にコラムを書いておられるがある号の致知にこんな記事を見た。
今、手元にその実物記事がないので、記憶で書かせていただく。

小学五年生を担当するある女性の先生は、内心でひとりの男子児童を不快に思っていた。勉強しないから成績も悪いし、服装もいつも薄汚い。それに子どもらしさがなく表情も性格も暗い。この先生は、内申書にその気持ちを正直に書こうとした。

書く前に、念のためにこの児童の一年生からの内申記事を読んでみて驚いた。
一年生「○○君はとても成績優秀で努力家。性格も明るくて周囲からの人気者」とある。
先生は目を疑った。他の児童の内申書ではないのかと何度も確認した。

二年生「お母さんが病気で看護疲れをしているようだ。時々授業中に居眠りをすることもあるが、がんばってほしい」

三年生「お母さんが亡くなった。心の支えを無くしたようで時々ぼんやりしている。家事も手伝っているのだろうか、宿題をやってこないときがある」

四年生「お父さんが酒に酔って乱暴することがある。自宅でも怯えることがあるようだ」

これを読んで先生はショックを受けた。

こんな年若い児童が苦しみを受けながらもそれに耐えて学校に通っていることを思うと、先生は胸が熱くなった。

ある日、先生はこの児童に声をかけた。
「先生はいまから教室に残って仕事をしていくから、あなたも良かったら残っていかない。勉強の分からないところがあったら先生が教えてあげる」
彼は教室に残り、勉強した。

・・・この話はまだまだ奇跡のような後日談があるのだが、ここでは割愛する。興味のある方は致知出版社さんに連絡して、記事を入手されると良いだろう。

人間学(徳性)を耕してくれる記事が満載の月刊「致知」は、スラスラ読めるものではない。一冊通読しようと思ったら、丸々一ヶ月を要するかもしれない。とにかく骨太なのだ。

経営者として、指導的立場にあるあなたが”人間学を学ぶ”ということは、部下との関係を仕事関係だけに終始させるのではなく、先の女性先生のように慈愛の心で人に接することができるようになることだ。

成長したいと思う。

月刊「致知」 http://www.chichi.co.jp